文春オンライン

フランス各紙は「ゴーンさん事件」をどう報じたのか?

2018/12/08

 カルロス・ゴーン氏が逮捕された翌11月20日、パリのキオスクにもゴーンさんの写真が並んだ。

「ルフィガロ」「リベラシオン」「ルモンド」、これがフランスの三大紙。ただし、「ルモンド」は夕刊紙なのでまだここにはない。これらは全国紙だが、フランスでもっとも読まれているのは地方紙で、パリ地方は「パリジャン」。さらにもう一つ、フランスの日経というべき経済紙「レゼコー」も忘れてはならない。

©getty

気になる各紙の1面タイトルは……

 各紙の1面タイトルをみてみよう。

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「ルフィガロ」は《ルノー・日産/カルロス・ゴーン/嵐の中で》。

「ルフィガロ」(11月20日)

「リベラシオン」は《カルロス・ゴーン/操行ゼロ》。「操行」は、素行についての成績で、校則を破る寄宿中学生を主人公にしたジャン・ヴィゴの戦前の有名な映画のタイトルも踏まえている。

「パリジャン」は《失墜/皇帝カルロス・ゴーン》。

「レゼコー」は《イコン(聖人像)転覆》。

「皇帝」「イコン」はいずれも、日本を意識している。「パリジャン」は、記事の見出しでは、「自動車産業のTaikun(大君)」としているから、もしかすると、「天皇」と訳した方が良いのかもしれない。

©iStock.com

 なお遅れて並んだ「ルモンド」は、《ルノーはカルロス・ゴーンの後継者を準備している》。写真はない。

 ちなみに、どの新聞でもゴーンさんは脱税で捕まったことになっている。「有価証券報告書虚偽記載」はややこしいからこうしたのだろう。26日になって、AFP東京電で容疑は違うという記事が発信されたが、それに基づく報道では、「yukashoken hokokusho」という名がそのまま使われている。