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「根はブラジル、頭はフランス、そして心はレバノンだ」

 規格外といえばもうひとつ。

《多文化で多国籍の「皇帝(アンペラール)」はいずれにしろ、フランスで唯一のケースだ。(中略)「根はブラジル、頭はフランス、そして心はレバノンだ」と日本在住のフランス人経営者は語る》(「ルモンド」)

《いわゆる真の「世界市民」である。ブラジルでレバノン人の両親のもとに生まれ、フランスで育った。3つのパスポートを持ち、世界中を駆け回るのが大好きだ》(「ルフィガロ」)

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 三重国籍でいくつもの言語を自由に操る国際的な人間というと、オープンな感じがするが、どうもそうではないらしい。
 
 人当たりが良い反面、周囲と距離を置く。《カルロス・ゴーンは非常に冷血な動物だ、彼はその職業的な関係性に一切の感情も注入しない》。何十年も前からの付き合いでも名前で呼ばずに、「ムッシュ」「マダム」と呼ぶのだとか(「ルフィガロ」)。

 さらに、「パリジャン」は《しばしばパラノイアに等しい病的警戒》をするという。2005年にルノーのトップの座に就任するや否や元国内安全総局(公安)や軍諜報部出身者を側近につけた。

祖国を持たない自分を守ろうとしていたのか

 祖国を持たない自分を、このように守ろうとしていたのかもしれない。このことは、お金への執着にも表れているのではないだろうか。

《自動車の「大君」は、その貪欲の犠牲になったようだ。給料のレベルがフランスでも日本でも最も多い経営者の一人であるにもかかわらず「いつももっと多く」と駆り立てられていた》(「パリジャン」)

《フランスではルノーの社長としての報酬の話題は年中行事になっていた》(「ルフィガロ」)

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 ゴーンさんは「日産は世界企業です。報酬は国際的な慣行に合わせなければなりません」と言っていたが、「アメリカの」と言い換えるべきで、フランスにおけるゴーンさんの報酬は、ベスト40の大企業社長のトップである。