インパルスの板倉俊之(左)と堤下敦(右)

 南原清隆が“劇場支配人”となりゲストに見てもらいたいお笑いネタを紹介する『ネタパレ』。この日は、「ショートネタ10連発」と題して、芸人たちが短めのネタを次々と披露。その最後に登場したのがインパルスだった。

 インパルスといえば、堤下敦が二〇一七年六月、睡眠薬等を飲んで朦朧とした状態のまま車を運転し、道路交通法違反で書類送検。さらに同年十月、ゴミ収集車に追突する事故を起こしてしまう。結果、堤下は芸人活動を謹慎。当然のごとく、その影響は相方の板倉俊之にも及んだ。しかし、マイナスをプラスに、笑いに変えられるのがお笑いの利点だ。元々、インパルスは本格派のコント師。そのネタ作りを担っていた板倉は「『お笑い』っていう山をみんなで登っていく大会だと思っていたんですよ。みんながスニーカーで登っていく中、僕だけ鉄球がついてた」などと、相方に足を引っ張られていることをネタにする「腐り芸人」キャラとして『ゴッドタン』(テレビ東京)や『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ)などで脚光を浴び始めた。そんな中、堤下は今年十月、神奈川県の「住みます芸人」として活動を再開。そしてこの日が、コンビとしてテレビでの再スタートとなった。

「一年ぶりに披露するコンビネタはなんと漫才!」と紹介されて登場した二人に会場からは「え?」と戸惑いの反応。板倉の横にいるはずの堤下が、風貌は似ているが明らかに別人なのだ。そのまま二人は漫才を始めるが「俺、豚じゃねえわ!」という堤下定番のツッコミに違和感を感じ首をかしげる板倉。やがて「騙されちゃダメだ!」とホンモノの堤下が登場し「どっちがホンモノ?」と頭を抱える。「俺が知っている堤下はもっと意識が朦朧としているはずなんだ」

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 ここまででも、さすがインパルスと思ったが、それだけでは終わらない。「騙されちゃダメだ!」と、とにかく明るい安村やどきどきキャンプ・岸、マテンロウ・アントニー、果てはただのおばさんまで体型が似ているだけの偽・堤下(ニセミシタ)が次々とあらわれるのだ。そして舞台は暗転。堤下たちはいなくなり、板倉ひとりが佇んでいる。

「堤下なんて最初からいなかったんだ……。俺の弱い心が生み出した幻影だったんだ」

 まさに「今しかできない」サイコホラーコント。板倉の「腐り」は発酵、熟成の域に達し、いい味わいを醸し出している。

『ネタパレ』
フジテレビ系 金 23:40~24:10
https://www.fujitv.co.jp/netapare/