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後ろの電車が遅れているときに“待たされる”理由

――その判断には熟練の経験が欠かせないですね……。再開から1時間で通常ダイヤとはすごいですね! その間も運転本数はできるだけ通常時と変わらないようにしているわけですし。

藤田 その電車そのものは例えば60分遅れなのですが、ダイヤが乱れている時は利用するお客さまの立場だと何分遅れているかよりも、駅に着いたらすぐに電車が来ることのほうが大事じゃないですか。だからとにかく間隔を開けずに電車が来るようにする。どうしても動かせないところ以外はできるだけ走らせる。それが一番大切なことですね。

――もうひとつ伺いたいのが、ときおり遭遇する「後続の電車が遅れているため、運転間隔の調整で少々停車いたします」というアレです。先行電車に乗っていると、後ろの電車が遅れているのになんで時間どおりのこっちが待たされるんだ……とどうしても思ってしまいます。

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藤田 それはもう申し訳ないところなのですが、これをやらないともっと遅れが拡大してしまうんです。例えば後続のAという上り電車が5分遅れたとしましょう。それでも構わずに先行する電車が普通に走っていると、A電車を待っている駅ではどんどんお客さまが増えてしまって、乗降に時間がかかってさらに遅れがひどくなる。5分のところが10分15分となる。そうなると後続電車もさらに遅れますし、折り返して下りになるときにも遅れが残ってしまいます。そこで、A電車の前を走る電車の出発を遅らせるんです。これが運転間隔の調整。先行電車に少し頑張ってA電車に乗る予定のお客さまもご乗車いただいてから発車すればA電車の遅れが拡大せずにすむという仕組みですね。

西武池袋線を走る6000系の電車
こちらは西武池袋線を走るメトロの車両。ダイヤ乱れの際、相互乗り入れの直通電車は運行を優先させるという

――先行電車に乗っていればイライラするかもしれませんが、放っておけばもっと関係のないところでも遅れが影響してしまうかも。そうなると運転間隔の調整も重要なんですね。

藤田 もちろん遅れが出た以上はお客さまにご迷惑をおかけしてしまいます。でも、その影響をできるだけ最小限に留める。路線全体を見渡して最適な運行を目指すのが我々運転司令の業務なんです。