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“親父”原監督が気にかける“ビッグベイビー”今村信貴にいま必要なこと

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/07/20
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今後の今村に不可欠となる負けん気やタフなメンタル

 さあ、後半戦。他の追随を許さない圧倒的な強さで5年ぶりのV奪回へ突き進んでいる。冒頭でも述べたようにチームへの、選手への期待が膨らめば膨らむほど、責任を果たせなかった時の指揮官の評価は厳しくなる。バラエティーに富んだワードで指摘が次々と飛んでくる。時に胸に突き刺さり、心をえぐられることもあるだろう。耳をふさぎたくなることもあるだろう。それを今村は栄養に変え、全てをはねのける必要がある。

 近年で言えば、坂本勇人に菅野智之。チームの顔を張る両者のプレーはもちろん、勝因に直結する。その紙一重で敗因となれば、特に原監督に厳しく接せられ、メディアにも大きく取り上げられた。ただ、決まって、その度に失敗を補って余りあるビッグプレーを繰り出した。怒られれば怒られるほど、すぐさま文句なしの結果を出し、一回りも二回りも大きくなっていった。監督どうですか、と言わんばかりに。そういう負けん気やタフなメンタルが、今後の今村にも不可欠となる。

 打者と対峙すれば、腹をくくって開き直る度胸は備わっている。ただ元来、愛嬌のあるキャラクターでG党に親しまれている今村には、闘争心といったものは無縁かもしれない。実際にメチャクチャ心優しい。プロ入り後しばらくしてから、関係者の知り合いでいつも熱心に応援してくれていたファンが体調を崩して入院。手術を受けると聞きつければ、「少しでも力になれればと思いました」と自ら率先して『頑張って下さい』と直筆サイン入りのボールを届けて激励した。マウンドでもポーカーフェースな印象が強い。見た目だけで言えば、岡本よりよっぽど可愛らしく、ビッグベイビーの称号がピッタリだ。

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 プライベートの穏やかさとは決別。「強い気持ちを持って結果を出すだけです」。マウンドでは感情をむき出しにして、バッターをねじ伏せる。7回の壁など何のその。9回までファイティングポーズを取り続け、誰にもマウンドを譲らない。一人で投げ抜き、どうだ親父、と勝ち誇る。そんな孝行息子の未来の先に、巨人の歓喜の瞬間が待っている。

原辰徳監督、どうですか ©文藝春秋

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