文春オンライン

「緊急事態宣言は効果なし!」舛添要一が安倍政権“新型コロナ”無策を痛烈批判

“前都知事・元厚労大臣”は「初動の遅れは致命傷」と指摘する #1

note

中国と韓国を参考にしなかった安倍政権

舛添 安倍政権の対応にも、トランプ氏と似た部分があるのではないか。私はそう思えてなりません。

 とりわけ中国や韓国の新型コロナ対応への視線にそれを感じます。私は、彼らには見習う部分は多いと思います。たとえば韓国はかなり初期からPCR検査を徹底的にやり、ドライブスルーで受けられるような体制を整えました。その結果、直近では1日の感染者数が30人を切るところまで押さえ込むことに成功していますし、何よりもPCR検査を徹底したことで、感染経路不明者がわずか2%台です。中国は発生源の国でもあるのだから症例の宝庫です。これを使わない手はないはずです。

韓国では“ドライブスルー検査”も行われた ©AFLO

 ところが、安倍政権は隣国の知見を一切参考にしませんでした。イデオロギー的に中国・韓国が好きではないのは、別に構いません。しかし今はそんなことで物事を判断している場合ではない。使える部分は使うべきでした。結局、ただ無策を重ね、挙げ句の果てには感染者数が増えて慌てふためき緊急事態宣言を出したというわけです。 

ADVERTISEMENT

ドイツとイギリスは“緊急事態宣言”など出していない

舛添 欧州に目を向けても、たとえばドイツやイギリスは、そもそも緊急事態宣言など出していません。

 ジョンソン英首相、メルケル独首相は当初、集団免疫論に基づいて終息させようと判断しました。私も最終的な解決手段は、集団免疫論だと思っています。1つの集団(国家)の中で、6、7割の人が免疫をもてば、それが鉄壁になって封じ込める、という考えです。分かりやすくいうならば、ワクチンの完成までは時間がかかるから現実的手段として「気がつかないうちに感染して治っちゃった」という人を増やせばいいのではないか、ということです。ジョンソン氏もメルケル氏も、当初はその理論でいこうとしたのです。

ボリス・ジョンソン英首相 ©AFLO

 しかし理論としては正しいけど、最終的には「それはやめよう」という政治判断を下しました。疫学理論をしっかり学び、それを基に方針転換をしたわけです。行き当たりばったりの政策を続ける安倍政権、そしてコロナウイルスを甘く見ていたトランプ政権とは雲泥の差です。

 繰り返しますが、この優秀なリーダーが率いる2つの国は緊急事態宣言を出していません。しかし、打つべき手はちゃんと打っている。日本は見習うべきではないでしょうか。