4月7日、安倍政権は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて緊急事態宣言を発令した。これにより各自治体が相次いで住民の外出自粛や飲食店等への営業自粛を要請。経済に影響が出始めている。だが、それとは裏腹に感染者数は右肩上がりで増え続け、ついに国内感染者数は9200人を超えた。とりわけ首都東京の感染者数は急激に伸びており、2700人を突破した(※4月17日時点)。

 こうした中、前東京都知事で元厚労大臣の舛添要一氏(71)は、東京都の小池百合子知事の対応を批判している。舛添氏は、現在発売中の「文藝春秋」5月号に「安倍官邸『無能な役人』の罪と罰」を寄稿。政府の対応と合わせて東京都の対応にも疑問を呈している。(全2回の2回目/前編から続く

小池百合子・東京都知事 ©AFLO

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――東京都、特に小池百合子知事の対応はどう見ていますか?

舛添 安倍政権と同様に「初動の遅れ」が指摘できると思います。まず、東京オリンピック・パラリンピックの延期をめぐる小池知事の動きについてお話をしましょう。

 延期が決定するプロセスにおいて、小池知事は完全に蚊帳の外でした。大前提として、オリンピックは国の祭典ではなく「都市の祭典」です。日本2020ではなく東京2020。つまり、主導権を握るべきは首相じゃなくて東京都知事なんです。ところが今回、小池知事の頭越しに安倍首相とバッハIOC会長で延期を決めてしまいました。どういうことか。小池知事が日頃からIOCとの付き合いを怠ってきたということなんです。相手にされていない。

五輪延期が決定した途端、感染者が急増した

舛添 今だから言えますが、私は都知事としてIOCと我慢に我慢を重ねて話し合いをしてきました。IOCは「最終決定権は俺たちにある」というくせに、「舛添さん、いいですか。あなたが開催都市のトップ。あなたの都市で開催するんだからあなたの都市がカネを出さなきゃダメだ」と言ってくる。つまり、何か問題が発生した時は首相よりも先に都知事に相談してくる。ところが、小池知事は飛ばされた。「話す相手じゃない」と思われたのですよ。

バッハIOC会長 ©AFLO

 東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定した途端、なぜか東京都の感染者数は激増しました。これは客観的事実です。

 原因はPCR検査の数が増えたことでしょう。延期が決まるまで意図的にやらなかったのか、単にサボっていたのか。真偽のほどは分かりません。しかし、小池知事が初期に推進しなかったことは事実です。これは致命的です。東京都で発生した新たな感染者はほとんど感染経路が不明になってしまいました。