1ページ目から読む
5/5ページ目

元凶は取り巻きの「官邸官僚」たち

――政策には、官僚が密接に関わっています。舛添さんは、「文藝春秋」5月号掲載の記事で、新型コロナウイルス対応における官僚の責任を追及されていました。安倍政権と官僚の関係の問題点はどこにあると見ますか。

舛添 今回のコロナ対応が失敗した元凶は、間違いなく「官邸官僚」つまり、安倍首相の取り巻きの官僚たちだと私は考えています。

 たとえば、首相補佐官の今井尚哉氏(経済産業省)、和泉洋人氏(国土交通省)などは、第二次安倍政権の発足時からずっと官邸に居座っています。なんだかんだ言って、首相をはじめ国会議員は選挙の洗礼を受けていますから、あまり無茶苦茶な政策はしないんです。それなりのブレーキがちゃんとかかる。ところが、彼らは違う。それがないから、完全な「独裁」になる。しかも、5年も6年も総理の側にいるわけで、並の閣僚など見下しているわけです。

ADVERTISEMENT

【Twitter】批判を集めた安倍首相の“コラボ動画”


 そんな連中が、外界と断絶した“孤島”の官邸にいるわけですから、世間の感覚がわからなくなって当たり前です。「アベノマスク2枚」がそれを象徴しています。1世帯2枚でなんとかしろ、と言われても普通の家庭は困惑しますよね。

 さらに安倍首相は4月12日、ツイッターにミュージシャンの星野源さんの音楽に合わせて自分が寛ぐ動画をアップしましたよね。これもおそらく官邸官僚のアイデアでしょうが、自宅にいたくても仕事に行かざるを得ない人たちへの配慮が全くありませんでした。徹底的にズレている。

アンドリュー・クオモNY州知事 ©AFLO

 むしろ今、打ち出すべきは、クオモNY州知事のように、不眠不休で働く政治リーダーの姿、必死に戦う姿であるべきです。しかし、官邸官僚は、もはや“普通の感覚”がわからなくなってしまったのでしょう。

「絶対的な権力は、絶対に腐敗する」

 今回のコロナ危機は、奇しくも歴史家のジョン・アクトンが残したこの言葉の通り、官邸の感覚がいかに国民とずれているかということをあぶり出したのでした。

後編に続く

※「文藝春秋」編集部は、ツイッターで記事の配信・情報発信を行っています。@gekkan_bunshun のフォローをお願いします。

文藝春秋

この記事の全文は「文藝春秋 電子版」で購読できます
安倍官邸「無能な役人」の罪と罰