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五輪延期決定後に感染者爆増! 舛添要一が吠える「小池都知事はパフォーマンスをもう止めろ」

「票のことしか考えていない」と“前都知事”は糾弾する #2

なぜ小池知事は横文字を多用するのか?

舛添 その後の小池知事の対応はパフォーマンスの連続でした。国と都の対立構造を作り、「早く緊急事態宣言を出すように」と安倍首相を煽るようなコメントをしたり、テレビコマーシャルで「東京都知事の小池百合子です」とまるで選挙活動のようなことを公共の電波でやっている。豊洲市場移転の際のパフォーマンスとやっていることは同じです。

――小池都知事は記者会見で「ロックダウン(都市封鎖)」の可能性にも言及しました。

舛添 ロックダウンとか、オーバーシュートとか、なぜ小池知事は横文字を多用するのか。私にはそれが理解できません。都市封鎖、爆発的感染の方が伝わりやすい。伝わりやすい言葉で伝えるのが、政治家ですよ。ところが彼女は横文字を使って分かりにくくしようとする。これは脅かしているのと同じだとわたしは思います。

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舛添要一氏 ©文藝春秋

 都市封鎖も緊急事態宣言も必要ないと私は思います。弊害の方がはるかに大きいし、それよりも「やるべきこと」があるからです。小池知事も政策の優先順位を間違えているのです。

 真っ先にやるべきは「院内感染防止」でした。それをやらずに外出自粛要請だけするのは、「都民は外に出るな。自分で自分を守れ」と言っているようなものです。

院内感染防止に最も効果的なのは「抗体検査」

――院内感染の拡大は今、東京都で深刻な状況です。

舛添 台東区の永寿総合病院、中野区の中野江古田病院で大規模な院内感染が起こってしまいました。病院の感染症対策を完全に怠った結果がこれです。これこそ、都と厚労省が協力して取り組むべき最優先課題でした。医師がすべての患者を診察する際の明確な基準を作り、通達を出すべきだったのです。「こういう防護服とマスクを着用しなければ、診察してはならない」と。

 外来に来るすべての人が新型コロナウイルスを持っている可能性があります。怪我で運ばれた高齢者も、乳幼児も、その可能性を排除できません。ところが、受け入れる病院側が「すべての人がコロナに感染している可能性」に備える体制を作れていないのです。これは国と都が強制的にやらせるくらいでないと徹底できません。

大規模な院内感染が起きた台東区の永寿総合病院 ©AFLO

 院内感染防止に最も効果があるのが抗体検査です。最近になってようやくやり始めましたが、もっと早くから一斉にやるべきでした。

 欧州やアメリカでは一斉に医師の抗体検査をしています。なぜか。知らない間に一度かかって治ってしまった人は“最強の戦士”だからです。基本的にはもう感染しないので、全力で働けます。「誰が免疫を持っていて、誰が持っていないか」がわかれば、医師不足に対処できる。免疫を持つ人を中心にシフトを組むことができますから。本来、東京都は自粛を要請するよりも先にまずこれをやるべきだったのです。しかし、初動でやらなかったため、対応は後手後手に回ってしまいました。