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特集観る将棋、読む将棋

2020/07/08

実は「ジェット機じゃなかったかも」

 プロがバケモノと表現するほどの強さ。プロが震えるほどの勝ち方。29連勝したあの時からまだ3年しか経っていないが、もうあの時に藤井聡太を言い表すのに用いられたことばは、今の彼には当てはまらないのではないだろうか――。そう思って一通のメールを送ってみた。宛先は、高野秀行六段。文面は「あのときのジェット機は、今、どうなっていますか?」。するとこんな返信をいただいた。

藤井七段との対局が大きなモチベーションになると語っていた高野秀行六段 ©︎文藝春秋

「あの時のジェット機」ですが、実は「ジェット機じゃなかったかも」。藤井聡太くんの将棋は想像できる範囲を遥かに超えてしまっています。ジェット機なら乗ったこともあるので、想像ができます。しかし、宇宙にも行くことができるもの(スペースシャトルみたいなもの)だったら……。感覚が分かりませんよね。「ジェット機」といって、ごめんなさい。あなたを過小評価しておりました。って、感じです。

 デビュー当時「ジェット機」と評された14歳は、その3年後「スペースシャトルのような未知なるもの」と評されている。

進化を遂げる17歳、この先さらなる成長を

 間違いなく、私たちは歴史の目撃者なのであろう。

 いくら的確に言い表しても、そのことばを超える進化を遂げる17歳の底はまだまだ見えない。おそらく今が最盛期ではなく、この先、さらなる成長を見せてくれるはずだ。

棋聖戦第2局では、和服姿で対局に臨んだ ©︎代表撮影:日本将棋連盟

 私たちが、藤井聡太の将棋を見て快哉を叫ぶのは、なにもいつも勝っているからではないのだろう。きっとその成長を見ることができる喜びゆえなのではないかと、気がづいた。

 ただただ、その成長を見る喜びを感じながら、この規格外に強い、しかし驚くほどに謙虚な17歳を見よう。

 彼にとって、そして将棋界にとって大きな足跡が、間もなく行われる棋聖戦第3局で刻まれようとしている。

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