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特集観る将棋、読む将棋

2020/07/08

豊島竜王・名人が語った「10年後の目標」

 遠山雄亮六段が紹介している豊島将之竜王・名人のことばは、他に類を見ない先見性が実に印象的である。

「藤井(聡)七段について豊島名人は『(10年後に訪れるであろう)藤井(聡)七段の全盛期に戦うことを目標にしている』と語っている。三冠がそう評価する16歳も半端ではないが、その思いを率直に述べるところも豊島名人らしい」

「藤井聡太七段とは全盛期に戦いたい」 豊島将之新名人は“令和の覇者”となるか?》より

 豊島には、10年後の藤井聡太は、どのように見えているのだろうか――。

緊急事態宣言解除以降の戦いぶり

 藤井聡太の強さは、多くの人が見てきたはずである。対局があれば、そのほとんどが中継されており、その成長過程は同じ棋士だけでなく多くのファンも目撃してきたはずだ。

棋聖戦第2局の将棋は、多くのプロも驚かせた 代表撮影:日本将棋連盟

 しかし、その進化の様に、多くの人が改めて驚かされたのが、コロナ禍における緊急事態宣言が解除された以降の戦いぶりではないだろうか。2020年6月2日、棋聖戦の決勝トーナメント準決勝で佐藤天彦九段との対局に臨んで以降、7月2日王位戦の第1局で木村一基王位に勝利するまでの10戦を9勝1敗。3度あったタイトル戦は3戦全勝という強さである。

 とりわけ棋聖戦の第2局。渡辺明棋聖相手に、後手番の矢倉で勝ち切った一局には、プロからも規格外の感想が寄せられていた。

勝又清和六段のツイッターより

〈守備の金が前線に上がり玉の頭上に飛車がスライドする前代未聞のフォーメーション。金のドリブルで桂得したあと意表の守備堅め。相手のカウンター狙いを見透かしたようにサイドチェンジして「聡太必殺の桂打」で相手の金を釣り出して寄せ切る。一本もシュート(王手)を打たせない完勝。バケモノ。〉

 こうツイッターで綴ったのは勝又清和六段。現地で戦いを見守っていた飯島栄治七段は、その強さをこう表現している。

「見ていて震えた。『完勝』という一語で表現しきれない、藤井七段の勝ち方だった」

「恐ろしいまでの完勝」飯島七段が藤井七段の“魔法の2手”解説/将棋》より

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