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オリックスが低迷から脱するための、まさかの“極私的”監督人事案

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/08/01
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下げシロがないチームほどトガった変革を試みることが可能

 セイバーをベースにしたAIが用兵や戦術を決めることで、変化が生まれても面白いし、局面によっては人間の判断と同じだったということになっても、それはそれで興味深い。

 実況「二死満塁、一打逆転のチャンスにAI監督が送り出したのは……代打小島!」

 ファン「おお~、AIも小島だった! 西村前監督、あのころ文句言ってすいませんでした~」

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 となる可能性も……無くはない。

 実際には戦術や用兵だけが監督の仕事ではないし、そもそも無人格のものを登録したり、それに選手たちが付いていくということはできないだろう。確認していないが電子デバイスのベンチ持ち込みも禁止かと思う。なので現実的には「試合前PCに向かい、想定される場面の得点期待値を確認する監督」にするとか、メガネキャラの「あらゆる場面の期待値や確率を暗記しているAI活用コーチ」を置くとか、形は問わないので「経験と勘以外」の比率を思い切って高めてみてほしいのだ。

 そういう野球に対する反感も寄せられるだろうが、狭い日本に似たような野球をやる球団ばかり12チームある必要もない。賛否がやかましくなるのは、一種のダイナミズムでもある。

 このような発想にデメリットがあるとしたら、「成績が低下したらどうするんだ?」ということだろう。しかし既に皆さんお気づきの通り、オリックスは普通の野球をやって過去5年5、6、4、4、6位なのである。下げシロがない強みを持っている。いきなり日本シリーズに進出したうえで勝利するのは容易でないが、日本一トガったチームにはすぐなれるかもしれないし、ゲリラ的とも言える非正規ルートが、実は優勝への近道という可能性もある。

 このやり方がうまくいかなかった場合、専用アプリを通じて無数のファンが交代投手の選択や次打者にとらせる戦術を投票する、「多数決監督」という発想も持っているが、それはまた別のお話……。

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