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横山雄哉の復活と北條史也の有言実行…横田慎太郎が明かす二人の先輩への想い

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/10/13
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 プロ野球もいよいよシーズン終盤に入ってきましたね。タイガースはコロナウイルスの感染者が出たり、大変な状況ですが、最後まで優勝を目指して戦う姿を僕は毎日、楽しみに見ています。

「絶対、背番号15を取り返してください」

 そして、嬉しいニュースを目にしました。9月30日に昨年までチームメートだった横山雄哉さんと同い歳の石井将希が揃って支配下登録されました。昨年まで同じ育成契約の選手として、一緒に支配下登録を目指して戦ってきた仲間。横山さんは、左肩を手術された後にリハビリ組で一緒に過ごす時間が多かったですし、僕の方が入団は早かったですが、寮でも一緒に生活しましたし、本当に優しくてお世話になった先輩です。印象に残っているのは、1年目の横山さんが最初にボールを投げた時の周りの人たちの反応です。いろんな先輩方が「すごいボールやな」とびっくりされていたんですよね。すごいピッチャーになるんだなと思ってました。そこから、故障などがあってなかなか1軍で投げる機会はなかったと思うのですが、諦めない姿を僕はずっと隣で見てきました。

横山雄哉

 左肩を手術して、痛みもあったでしょうし、ボールを投げられない日も短くありませんでした。悔しそうな顔は何度も目にしましたけど、それを力に変えていたのかなと思います。横山さんは、普段はおもしろいことも話してくれますし、良い意味で歳上と感じさせない親しみやすいキャラなんですが、試合前のブルペンから走って行って、マウンドに立つ時にすごく人が変わるというか。いつもの横山さんからは想像が付かないほど表情が変わるんです。他の人を寄せ付けないオーラというか。それは、鳴尾浜のベンチからずっと感じていました。

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 僕が引退を決意した後、横山さんに声をかけたことがありました。「絶対、背番号15を取り返してください」と言ったんです。横山さんはドラフト1位で入団して素晴らしい背番号を背負って投げてこられましたが、手術して育成になりました。でも、諦めずにもう一度、支配下に戻るという気持ちはそばですっと感じてきましたし、そんな姿を刺激にしてきました。僕は引退して目標は叶わなかったですが、横山さんには絶対にもう一度、背番号15を付けて欲しいと、素直に思いました。だから、今回、15番ではないですけど、もう一度、2桁の背番号に戻って本当に嬉しいです。すぐに1軍に昇格して4日の巨人戦では9回に3年ぶりの登板をされて点を取られてしまい、登録を抹消されましたが、まだまだこれからです。次は先発で甲子園のマウンドに戻ってきてくれると思ってますし、横山さんならそこで勝ってくれると思ってます。

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