2020年は1月5日の「えの&吹雪、文春ファイターズ 優勝記念・ニューイヤーライブ!」から始まりました。東京オリンピックがあろうとなかろうと、今年はきっといい年になる。実に楽しみな景気の良い年明けでした。

今年1月の「えの&吹雪、文春ファイターズ優勝記念・ニューイヤーライブ!」ステージ上、手前は筆者、奥は村瀬コミッショナー。 ©えのきどいちろう

 だって翌月には、ファイターズ沖縄キャンプ見学に初めて出かけたんです。毎年2月に北海道内からツアーが催行されていると聞いた時には、自分には縁のないことのように感じたものです。野球場にはいろんな人が集まっていると思いますけども、そう、こちらは歌も商売も芽の出ない人生……、沖縄旅行なんて簡単じゃないんですってば。

ファイターズ沖縄キャンプ

想像するだけのものだった沖縄キャンプ

 沖縄キャンプは遠くで実在するらしいと想像するだけのものでした。成績の低迷したシーズンの翌年の2月には、本当に練習してんのかー、負けすぎだろー、なんて南の空に向かって独り言したものです。そしてこちらは、キャンプ中継を朝から晩までただ見ているだけの2月でした。

ADVERTISEMENT

 ただ見てるんですが、気になるのはなかなか一軍に定着しない選手やどうしても勝てない投手なんです。共感というと変ですかね、一方的な感情移入は、強くなるばかりでした。まだきっと、何かが足りないんだよ。見えない結果に向かって、得体の知れない何かを積み上げていくしかないんだよなどと、根拠もなく激励のような言葉を呟くばかり。

 そんなわけで、テレビで眺める以外の沖縄キャンプについての楽しい思い出は、2002年2月、名護へ旅行に行くという知人に、ダメもとでお願いしたことくらいです。無理かもしれないけど小笠原という選手のサイン貰ってきてよと。(当人曰くあっさりとベンチまで行って貰えたというサイン色紙が、手元にあります)

友人に頼んだらあっさりゲットできてしまった小笠原道大選手(当時)のサイン。 ©石村吹雪

 がしかし、ついに今年は沖縄に行くのですよ。っていうか行ってきましたよ。やったな俺。もしや風が吹いてきたか。だから今年は、素直に応援しよう。チームは強くない方がよほど歌のネタになるから弱くてもいいんです、などとひねくれたことは言うまいと、心に決めたものでした。今年はきっといい年になる。そう信じて疑いませんでした。