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沖縄キャンプで見たたくさんの“いいもの”

 わあ、本当に外野席のすぐ外は、海だよ。こんなところまで高橋信二は打球を飛ばしていたの? あれ、着くなり最初に見かけたのが、テレビで見たカートに乗る監督だどうしよう。それにしてもオリオンビールは沖縄で飲む方が美味しいな、から始まって。

オリオンビールは沖縄で飲む方が圧倒的に美味い!! ©石村吹雪

  ああ、本当に小笠原は帰ってきたんだなあ。試合用より長くて重いというバットをかついで練習を見て歩く姿は、現役の頃のただただ厳しい面持ちとは違った、やさしい校長先生みたいだよ。でも、時折ゲージに入って構えてみせるなり、選手たちは手を止めてその姿を見つめてる。生きたお手本か。いいもん見ちゃったよ。

 せっかく来た沖縄だもの朝早く目が覚めちゃったよ。海辺を散歩するよ二日酔いなんかしないよ。開門前の球場に、オープン戦の対戦チームの用具運搬の車がやってきた。朝まだ7時だよ。その車をお迎えに出てきたのが、矢野コーチその人だよ。やっぱりこの人は実際にそういう人なのか。いいもん見ちゃったよ。

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 気がつけばコーチのことばかり見ていたのは、たまたま今のコーチたちの現役時代を、こっちは夢中で見てたんだもの仕方ないよねと言い訳しながら、ああ武田勝さんが球投げてるよと横目でみながら、大田泰示が日が暮れるまでバットを振っているのを見続けたよ。トス、シート、ロングティー、ああ、プロ野球選手が何をどれだけやったら上手くなるのか分かる訳もないけれども、明日からの実戦で見るのが楽しみだよ。と思ってたのに大田泰示3試合とも全部欠場だよ。でもいいもん見ちゃったよ。僕の中では、11月の最終戦、最後の打席(14号2ラン)に繋がっているんだ。いいもん見ちゃったよ。

 プロの練習はすごいなあ。どうして不思議に美しいんだろう。スピードも柔らかさも、力強さも。練習見ているだけで楽しいのは、そういう理由なんだろうな。試合に勝つとか負けるとか、そういうことも楽しみに違いないけれど、今年も試合を見に行くんだ。いいものを見に行くんだ。きっと北海道にもまた行くんだと心に誓い、ちょうどキャンプ打ち上げと同じタイミングで、東京に帰ってきました。

2020年2月22日、タピックスタジアム名護、巨人戦オープン戦。もちろんこの頃は有観客、制限なし。 ©石村吹雪

好きなことをあきらめる理由はありません

 2020年は、誰もが未体験の世界になりました。すべての人が、いつもとは違う春、夏、秋を過ごしました。結局、僕が一軍の試合に足を運んで観戦したのは一度だけでした。思い通りにはなりませんでした。

 その中で僕たちのファイターズのシーズンは、低迷という言葉で締め括られ報道されています。その理由はともかく、彼らはきっとそれを改めるなり立て直すなり、あきらめずに立ち向かうことでしょう。やっぱりあきらめない姿勢を見るのは楽しいです。だってあきらめたら終わりですもの。

 一方、今年は気がついたら我々自営業者も、ひどい苦境に直面しています。でも、好きなことをあきらめる理由はありません。僕たちの世界も、あきらめたら終わりです。また、沖縄にも行こう。選手たちに会いに行くんだ。かっこいいもん。そのために、あきらめないんだ。彼らも、自分たちも。大事なことなのでもう一度言います。

 好きなことをあきらめる理由はありません。

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