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2年で戦力外、独立リーグでの衝撃……ロッテ・三家和真「波乱万丈の野球人生を乗り越えて」

文春野球コラム ウィンターリーグ2021

2021/01/24
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かつてのチームメート・鈴木誠也の強烈な印象を原点に

 スカウトに転じた今。試合だけではなく練習などにも積極的に足を運んで選手たちを見たいという想いがある。それはカープ時代に出会ったチームメートの強烈な印象が原点にある。

 カープ在籍2年目。高校出のルーキーが入団してきた。一つ年上の野手ということで世話役を言い渡され、寮での生活のルールなどの指導を任された。よく練習をする選手だった。夜、寮の隣の室内に明かりがいつまでも灯っている。のぞいてみると大抵、その選手が練習をしていた。今やカープの看板選手として活躍する鈴木誠也外野手だ。

「神っていると話題になりましたが、彼の活躍はまったく驚きではなかったです。それほどよく練習をして、野球に没頭していました。どこまでも満足をせずにバットを振る姿はその後の自分の人生の中でもずっと頭に残っていました。彼が活躍している姿を見て努力は報われるのだなあと思いました」

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 室内で必死に打ち込む後輩の姿が脳裏に焼き付いた。だから自身も独立リーグでの3年間、必死に生きた。環境に弱音を吐かず、努力を続けた結果、チャンスが訪れマリーンズに入団。3年目で初安打、初本塁打が生まれた。努力が報われた。

「ミスをして悔しがるだけではなくて練習をしてしっかりと反省して悔しさをぶつける選手だった。ああいう風に自分とちゃんと向き合える熱を持つことは大事だと思います」と三家。

 だからスカウトとして選手のプレーだけではなく練習での様子や取り組む姿勢、普段のちょっとした行動にも注目していくことを信念に掲げている。

「今は一から覚えているのでとにかく必死です。名刺を渡して顔を覚えてもらってというところです。やりがいを感じるし新鮮。なによりもこれからどんなことが待っているのかという楽しみがあります」

 エリート街道ではない。歩んできた道は紆余曲折。酸いも甘いも色々な経験をしてきた。なによりも沢山の一流選手と出会ってきた。その日々をスカウトマンという新たなポジションで生かす。失敗と向き合い、誰よりも努力し、熱を持ったまだ見ぬ若い選手を発掘すべく日々、色々なグラウンドに足を運ぶ。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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