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柳投手の完投勝利をもっと見たい!

 柳には今年は右のエースとして「ドラゴンズに柳あり!」という成績を残してほしいですね。

 今、ドラゴンズは苦しい戦いをしていますが、BクラスからAクラスへと上がったときに「柳の活躍が大きかったな」と言われるようなピッチングを1年間通して続けて、大野雄大さんや巨人の菅野投手のように、他球団の打者が「今日の先発は柳か……」と戦意喪失するようなピッチャーになってほしいと思います。

 これは僕の願望ですが、もっと完投を増やしてもらいたい。柳は間違いなく完封、完投できる実力を持っていますし、完封、完投勝利はチームを勢いづけます。ただの1勝じゃなくなるんです。昨年、ドラゴンズがAクラスになったのは、大野雄大さんが何度も完投勝利をして勢いをつけたからだと思います。

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 1試合投げ抜くのがエースの姿だというのは、彼がずっと追いかけてきた大野雄大さんからすごく感じ取っているはず。柳自身は「最後まで投げきりたい」というピッチャーのエゴよりもチームの事情を絶対的に優先しているので、納得している様子は伝わってきますが、ファンとしては「何がなんでも行かせてくれ!」という熱さも見てみたいんですよね。

 昨年、阿波野コーチがマウンドに来たとき、柳が二塁ベース近くまで二度も「逃亡」したことがありました。結局、交代しましたが、これは見ていて熱かった! 

 柳の持っている熱さを知っているからこそ、「マウンドは譲らねえ!」というエースのエゴをどこかで見てみたいんです。明治大学の先輩の憲伸さん、星野仙一さんも熱い人ですよね。先日、昌さんも「もうそろそろアイツも『もう1イニング行きたい』と言ってもいいんじゃないか?」とおっしゃっていました。柳には結果を出し続けることで、「最後まで投げたい」と言えるようになってほしいです。

 普段の柳は、それほど熱さを見せるタイプではありません。調子が良くても悪くても、明るく振る舞ってくれるタイプの人間です。

 いつもニコニコしていて、お調子者で、気遣いができて、まわりの人みんなを笑顔にする柳が、マウンドに立つと表情が一変、“鬼の形相”になります。ピンチを抑えた後の雄叫びも無観客試合だとよく聞こえます。特に巨人戦で、坂本、丸、岡本を三者連続三振にとったときはすごい形相でした。そういう面を見ると、やっぱりピッチャーだな、と思いますね。

 プロ初勝利が父の日で、母の日にも先発して勝つところが、とても柳らしいと思います。よく知られているエピソードですが、彼のお父さんは若くして亡くなっていて、お母さんが女手ひとつで頑張って育ててくれました。母の日のヒーローインタビューではお母さんへの感謝もしっかり伝えていましたが、彼の人の良さがよく出ていましたね。僕も見ていて、胸が熱くなりました。

 チームを勝ちに導き、エースとしてチームを引っ張り、完投勝利も見たい。ちょっと欲張りなようですが、これがずっと柳を応援してきた一ファンとしての率直な希望です。勝ち星に見放されている時期もあったので、こんな話ができること自体が嬉しいですね……。

 今はずっと会えていませんが、いい結果を残してもらって、シーズンオフに楽しく話ができたらな、と思います。頑張れ、ゆうちゃん!

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