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ほとんどの選手が口にする「人があたたかい」には理由がある

 ラストはチームの柱・則本昂大選手会長。

 2012年の入団当時の東北について聞くと「震災から立ち上がろうとする東北のチームに入っていざ被災地に行ったときは、とても衝撃を受けました。とにかくチームが一致団結して、ぼくたちが勝つことがファンのみなさんの元気になるというのは選手全員が感じていました」

 そしてこう続いた。

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「(東日本大震災を)忘れてはいけないと思いますし、東北だけではなく他にも震災はあるので、そこは風化させてはいけないと思いますし、伝えていかないといけないと思っています」

 東日本大震災の翌年に入団した則本昂大選手。東北が立ち上がっていく姿をずっと見続け、東北の球団の柱として全力で腕を振っている。

則本昂大選手 ©河内一朗

 最後に東北の好きなところを聞かせてもらった。

「(みんな言うかもしれませんが)人ひとりひとりが、すごくあたたかいです! ほのぼのするというか、心がほっこりするというか、そういう土地だなと思います」

 選手会長の目はやさしかった。

 ほとんどの選手が口にする「人があたたかい」には理由があると思う。土地柄もあるだろうが、昔から助け合い、支え合い、手と手を取り合って東北の人々は生活してきたのだと思う。

 個人的な話になるが自分が東北の被災地を訪れたのは、東日本大震災から4年2か月が経った2015年5月11日だった。

 2015年7月、球団のみなさんに連れていっていただいた岩手県・大槌町。被災地で現地の方に当時の様子を語りを聞かせていただいて胸が苦しくなった。そしてあの時、「さんずろ家」で焼いて食べた三陸産のホタテの美味しさは一生忘れない。

 東北はとにかく、今まで食べたことないぐらい魚が美味しいし、お米も果物も野菜も美味しいし、緑が生き生きしている。そして選手のみなさんが言っていたように「人」が優しい、本当にあたたかい。きっと人の辛さや、悲しみを知っている人が多いから寄り添ってくれるのだろう。

 自分は東北が大好きだ!

 東北の球団で仕事出来ていることに感謝しながら、浪速のおにぎり魂で東北の魅力を発信していきたい。

「がんばろう東北」

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