オリンピック、パラリンピック、夏の甲子園、様々なスポーツに沸いた夏。心奮わされ、刺激を受けて、「よし、私も頑張ろう」と思えた方も多いのではないだろうか。スポーツ大好き、ホークスのドラフト3位ルーキー・牧原巧汰捕手もその感動を大いに自分のモチベーションに変えた一人だ。

 実家のテレビには、スポーツ番組やスポーツ中継の録画がいっぱいだという。神奈川の日大藤沢高校からホークスに入団した強肩強打の捕手。工藤監督が入団前から映像を見て興味津々だったという楽しみな存在は、現在3軍を主戦場に身体作りからしっかりと取り組んでいるところだ。

同じ高校出身のアスリートたちからの刺激

 今夏は、身近な存在の躍動に胸を熱くした。東京オリンピック競泳男子200メートルバタフライで銀メダルを獲得した本多灯選手は日大藤沢高校の1学年上の先輩だった。「やっぱえぐいわ。おめでとうございます」とInstagramのストーリーズから祝福のメッセージを届けていた。高校時代、水泳部の友人と一緒にいる時に言葉を交わしていたという身近な存在。世界の舞台で躍動する姿に興奮した。

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 そして、8月末日にはサッカー界からも大きなニュースが飛び込んできた。J1徳島ヴォルティスのFW鈴木輪太朗イブラヒーム選手がスペイン1部のバレンシアへ期限付き移籍することが発表された。彼もまた、日大藤沢高校出身で牧原巧捕手とは同学年。スペインの名門クラブで新たなスタートを切る同級生に「いやエグくね?(笑)お互い頑張ろう」と発信した。元々、「生まれ変わったらサッカーもしたい」というサッカー好きの牧原巧捕手。若鷹寮でも部屋着感覚で(?)横浜F・マリノスのユニフォームを着ているという。同じ高校出身のアスリートたちに刺激を受けて、牧原巧捕手も目指す先は「超一流」だ。日本一のキャッチャーを目指し、プロ生活1年目を過ごしている。

目指すは日本一の捕手、打てる捕手と目標を掲げている牧原巧汰捕手 ©上杉あずさ

 今春キャンプ中から面白い存在として頭角を現した。ルーキーながらドラ1・井上朋也選手と共にA組(1軍)の練習に参加する機会を得た。ノックでは元気いっぱい声を出して、シート打撃では初球から積極的にフルスイング。「すごく楽しくて勝手に声が出ちゃいました」と充実感たっぷりに振り返っていた。「A組ってこんなところなんだと感じられました。世界が違う。いち早くそこに行けるように頑張ります」と話した牧原巧捕手。目指すべき1軍という舞台を早々に体感できたことは、非常に大きかったのではないだろうか。

 高卒ルーキーは3軍スタートで「1年間野球ができる身体作り、基礎練習」に取り組むのがホークスの基本的な方針ではあるが、当初から藤本博史2軍監督は「今年のルーキーは抜けてるよ」と能力の高さを評価し、2軍での早期起用を熱望していた。そして、早速ウエスタン・リーグ開幕3戦目でスタメンに抜てきされ、初打席で公式戦初安打をマークしたのだった。

 また、千賀滉大投手をはじめとするケガから復帰を目指す主力投手がファームで登板する際にも、その女房役として度々マスクを被ってきた。1年目から誰しもが経験できることではない。貴重なチャンスで得たものを、自らの進化に生かしていく。