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 さて、いよいよ阪神ファンの声を聞いてみたい。最初に訊いたのは、建築家の光嶋裕介さんをはじめ、内田樹先生が主宰する神戸の道場「凱風館」の猛者たちだ。ちなみに、この場合の「猛者たち」は「猛烈阪神ファンの者たち」を意味する。質問は、以下の2つ。

1)応援中に、こういうことをすると負ける、逆転される、という行動はありますか?
2)反対に、こうすると勝つというゲンカツギのようなものはありますか?

 猛者たちの回答は、実に示唆に富んでいた。

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 最初の質問に対しては、「ツイートなどで、ここからの展開を予想すると、大体その通りにならないで、負ける」(光嶋)、「おー山の悪口言うとゲッツーになる」「仕事帰りに携帯で接戦で勝ってると確認。家に着いてテレビをつけるとピンチになってる」「逆にチャンスの時にテレビをつけると おー山の打順でゲッツーになる」「今年は西くんのユニホーム着て応援すると何故か勝てない」(S川)、など。

 どうだろうか。そうそう、と頷いた阪神ファンは少なくないにちがいない。

 私も、ツイッターで途中経過を呟いた直後に逆転負けした経験がある。以来、決してしないようにしている。『なぜ試合途中に呟くと逆転負けするのか』なんて新書があってもおかしくないと思う。

 大山に関しては……。

今年の甲子園(S川氏撮影)

球場で応援できない場合は、どうすればいいのか

 ところで、「こうすれば勝つ」を発表する前に、この方にも訊いてみた。以前、大阪の病院でコロナ患者と日々向き合う看護師Sさんの声をお届けしたが、そのSさんである。

「京都から甲子園に通っていた時は、距離があったのもあり、気持ちもかなり強かったので裏目に出るのか、現地観戦はほぼ負けてました。なので行かない方がいいのかと真剣に悩んだこともあります。

 でも大阪に引っ越して、気軽に行ける距離になったのもあり、足繁く通うと、現地観戦でも勝つようになったので、とにかく楽しみにしすぎないこと、気負って行かないこと、ちょっとスーパー寄るぐらいの感覚で行くこと!」を心がけておられるそうだ。

 阪神が勝つために、そこまで殊勝に……。医療現場でのご苦労を思うと、「ぞんぶんに楽しんで、はしゃいでくださっていいですよ」と言ってあげたいのだが。

 そして、思い出したように、「あと、大山に限って言えば、大山ファンの人と一緒に観戦すれば、かなり打ってくれます」と教えてくれた。

 そう、これで「大山問題」は解決だ。大山が打席に立つときは、大山ファンと一緒に応援を。

2015年の甲子園にて。光嶋夫妻。ユニフォームの選手はいずれももう阪神にいない。

 さて、いよいよ、「勝つ」ためにファンができることを公表したい。

 甲子園のすぐそばに住むA氏は、「球場での応援なら攻撃中は売り子さんのビールなどに目もくれずに全力で応援」するようにしているという。きっと、少し目を離した時にチャンスを生かせなかったりするのを、自分で許せないのだろう。松さん同様、球場でのファンの応援はかくも個別的であることを期せずして知ることとなった。

 球場で応援できない場合は、どうすればいいのか。面白いことに、3人の回答が同じようなものだった。

「諦めて風呂に入ってからテレビをつけると逆転している」(S川)、「テレビを見ないで風呂に入り上がってくると、逆転している」(光嶋)。

 なるほど、思いを込めて見るより、「見ない」を選ぶ。先日の私は見てしまったために逆転されたが、「見ない」ことで勝ちをとるというわけだ。そのとき、「風呂」という装置が有効であることが明らかになった。

 それをさらに徹底したのがK田氏である。

「諦めて寝たら、勝つ」

 文字通り、「果報は寝て待て」、だ。

 というわけで――。

 阪神ファンの皆さん、寝よう。風呂に入って、しっかり寝よう。さすれば、吉報が訪れよう。

 全ては阪神が優勝するために。優勝までの道中でバテてしまわないためにも……。

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