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来年のドラフトで指名したい選手は

 育成で指名された4人についても特徴のある選手を揃えたという印象だ。

 1位の古市尊(徳島インディゴソックス)はとにかく肩の強さが目立つ捕手。高校卒1年目という若さも魅力だ。2位の滝澤夏央(関根学園)は抜群の脚力を誇る内野手。足のスペシャリスト枠として期待がかかる。3位の菅井は先述したように現地で見られなかっただけに詳述は避けるが、同じ高校生左腕の羽田と切磋琢磨してレベルアップしてもらいたい。4位の川村啓真(国学院大)は東都一部で4年春に首位打者に輝いた左の巧打者。プロではよくいるタイプのため評価が低くなったと考えられるが、走攻守全て高レベルだけに、意外に早く支配下登録を勝ち取る可能性もありそうだ。

 1~3位は完成度の高い選手を揃え、4~6位ではスケールのある選手でチームの大型化を図り、更に育成では一芸に秀でた選手を確保する。そんな狙いがはっきり見えた点も西武の指名を高く評価できるポイントだ。

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 ただ今年に関しては本当に言うことがないほどの結果となったが、2019年以降の3年間というスパンで見ると少し課題も見えてくる。昨年は野手中心の指名に振り切ったことで投手、野手の全体的なバランスは悪くないものの、1位と2位の上位指名に絞ると野手は昨年の渡部健人だけ。更に上位指名6人の出身を見てみると大学生3人、社会人3人となっており、高校生は1人もいない。このような状況を考えると少し気が早い話だが、来年のドラフトでは上位指名でまず高校生の大物に向かうべきではないだろうか。

 現時点では1位指名間違いなしと言われるほどの選手は不在だが、投手であれば夏の甲子園で最速147キロをマークした大型右腕の田中晴也(日本文理)、野手であれば右の強打者タイプである浅野翔吾(高松商)、内藤鵬(日本航空石川)などが有力候補となる。特に浅野は積極性とフルスイングが持ち味という点は西武のチームカラーにもよくマッチしており、足と肩を備えているという点も大きな魅力だ。上背がないところをどう評価するかというのは気になるところだが、このまま順調に成長していけば来年の有力な上位候補の1人になる可能性は高いだろう。

 1980年代から90年代前半までの黄金時代の西武を築いたのはやはりドラフトでの成功が大きかったことは間違いない。常勝軍団の復活に向けて、来年のドラフトでもファンをワクワクさせるような意欲的な指名を見せてくれることを期待したい。

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