文春野球コラム読者のみなさん、お久しぶりです。純烈の後上翔太です。
3月25日のプロ野球開幕の日、僕は純烈マネージャーの山本浩光さん(宇部商野球部で甲子園出場)と東京ドームにいました。オーロラビジョンが大々的にリニューアルされた東京ドームには3万8156人のお客さんが詰めかけ、「この空気が戻ってきたなぁ……」としみじみ感じました。
巨人が4対2でリードした9回表、あのルーキーの名前が告げられました。ドラフト1位入団の大勢投手です。
「マッチョな背番号15」の影が見えた
背番号15が腕を振る姿を見て、既視感を覚えました。そう、2代前の背番号15、澤村拓一投手(現レッドソックス)です。
巨人が最後に日本一になったのは、今から10年前の2012年までさかのぼらなければなりません。当時は村田修一さんや杉内俊哉さんを補強して、順風満帆だったイメージをお持ちの方もいることでしょう。でも、実際はクライマックスシリーズ・ファイナルステージで中日に3連敗と追い詰められたところからの、逆転日本一でした。
その土俵際で粘ったのが、ファイナルステージ第4戦で先発した澤村投手。6回無失点と粘投した試合後のお立ち台では、新庄剛志さんを意識したのか「明日も勝つ!」と絶叫。プロ野球ファンの間で「明日も勝つ!」は“負けフラグ”と知られていたので不吉な予感もしたのですが、幸いにも巨人は翌日も連勝。世間的に発言そのものがあまり話題にならなかったことを含め、僕の記憶に深く刻まれています。
日本シリーズで阿部慎之助さんから頭をポカリと叩かれた「伝説のシーン」ばかりが取り沙汰されていますが、2012年の背番号15は間違いなく巨人のピンチを救ってくれたヒーローでした。
あれから10年の月日が経ち、再び背番号15が巨人の救世主となって現れたのかと心が躍りました。しかも、開幕戦での大勢投手は変化球のコントロールがバラついて、なかなか荒々しいピッチング。そんなところまで澤村投手に似せなくてもいいのに……と思わずにはいられませんでした。
澤村投手も一時はクローザーを務めた時期がありました。僕も愛読していた某サイトでは、澤村投手のドラマチックな投球内容が「筋肉劇場」と評されていました。抑えた日は「制圧完了」。みんなハラハラしつつも、澤村投手が大好きなんだなと実感していました。
大勢投手もそんな劇場型リリーフになるのでしょうか。僕には技術的なことはわかりませんが、「劇場型でもいいじゃん」と思ってしまいます。
これまで巨人にはさまざまなリリーフがいました。僕の勝手なイメージでカテゴライズして大変申し訳ないのですが、次の3種類に大別できるように感じています。
(1)あたふた系……西村健太朗さんなど
(2)イライラ系……澤村投手など
(3)顔面蒼白系……中川皓太投手や、昔で言えば石毛博史さんなど
繰り返しますが、あくまで僕の勝手な偏見です。的外れだったらすみません。
では、大勢投手はどこに分類されるかと言うと、今のところどこにも当てはまらないように感じます。ピンチに汗を流しながらも、無表情を貫く。僕のなかでは藤川球児さん(元阪神)に近いイメージで、巨人のリリーフにも「(4)無表情系」が誕生したということでしょうか。
大勢投手はストレートで押す投球スタイルですし、いずれは劇場型ではなく、藤川さんのような難攻不落のリリーフになってくれるかもしれませんね。