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伝説的な“川端慎吾の14球”

【1球目】148キロ真ん中ツーシーム 三塁側ファウル

【2球目】128キロ内角高めスライダー 一塁側ファウル

【3球目】142キロ外角低めチェンジアップ 一塁側ファウル

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【4球目】152キロ外角ストレート 見逃し(ボール)

【5球目】141キロ真ん中高めチェンジアップ 三塁側ファウル

【6球目】151キロ真ん中ストレート 三塁側ファウル

【7球目】133キロ真ん中低めスライダー 一塁線ファウル

【8球目】130キロ内角スライダー 一塁線ファウル

【9球目】148キロ真ん中低めストレート 見逃し(ボール)

【10球目】137キロ外角低めチェンジアップ 見逃し(ボール)

【11球目】148キロ真ん中ストレート 三塁側ファウル

【12球目】128キロ内角スライダー 一塁線ファウル

【13球目】150キロ内角高めストレート 三塁側ファウル

【14球目】138キロ内角低めスライダー ライト線二塁打

 これの何が“とてつもなく凄い”か。

 この打席、川端選手はコース関係なくストレート系は全て三塁側、変化球は全て一塁側に打っているんです。

ストレートと変化球、それぞれ打つポイントが決まっている?

 ここからは僕の持論で申し訳ないですが……。

 おそらく川端選手はゴルフ選手がドローボールを打つときとフェードボールを打つ時とでクラブを入れる角度や身体を回すタイミング、そして手首をリリースするタイミングを微妙に変えるのと同じように、ストレート系、変化球でそれぞれボールを捉えるポイントがバチッと定まっているんじゃないかと思っています。

 我々素人目には、身体の近くに来たボールは引っ張って、遠くに来たボールは流したほうがボールに逆らっていない感じがしますし、自然に感じます。

 ですが、川端選手はコースに関係なく、投げてきたボールの種類でバットの入れ方(出し方)を変えているんです。

 止まったボールを打つゴルフだからそういう打ち分けができるのに、動いているボール、しかも130~150キロくらいの速いボールでそれをやっている。

 これ、相手バッテリーからしたらたまらなく嫌だと思います。

 ここまでスイングにムラがなければ、全てのファウルがヒットと紙一重に感じますもんね。

 思い返せば、あの日本シリーズでのヒットも内角高めのスライダーをレフトに打っていました。

 その直前に同じボールを投げられてるんですが、三塁側(バックネット)へのファウルにしていました。

 これは、長打を狙う場面や1点でいいからヒットがほしい場面、盗塁などで得点圏にランナーが進んだ場合など、その都度で変わってくる。

川端慎吾が「天才」と言われるゆえん

 先程挙げた、5点ビハインドの無死満塁の場合は、できれば複数得点をあげたいが、常に塁上を賑わし続ける事で相手にプレッシャーをかけ続けたい場面。

 そういうことを加味した上で、微妙にスイングや狙いを変えられるのが川端慎吾という選手が「天才」と言われる所以なんだと思います。

 しかも、代打という1打席で、です。

 去年はその細かな微調整がうまくいかず、なかなかバットが出てこない打席が多かったように感じましたが、今年は復活してくれる予感がバリバリしたのが4月9日の阪神戦。

 1点ビハインドで迎えた7回表2死一、二塁。

 7回10奪三振と絶好調だった才木投手のあの威力抜群の内角ストレートをライト線に価千金の同点タイムリー二塁打を放ったあの打席。

 直前のストレートがバックネットへのファウルになったんですが、そのスイングからは「絶対にこのストレートを引っ張ってやる」という強い意思を感じました。

 この“攻めるファウル”が出だした時の川端慎吾は、誰も止める事はできません。自分が打ちたいところに打つための準備が整っている証拠なんです。

 このゾーンに入ったら、スワローズファンは「はい、天才」と言う準備に入る事ができる。真中満さんの代打安打記録31と、若松勉さんの通算代打最高打率.349を越えていくのは、この男しかいない。

 さあ、行こうか!

 “バットに夢を乗せ 放つその打球で

 ツバメを【日本一】へ 導け慎吾”

 かっ飛ばせー! 川端!!

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