『チョコの中、散歩♪』
チョコモナカジャンボのリズムで繰り出した、リチャード選手のいつかの一発ギャグが妙にツボにハマってしまい……ずっと忘れられずにいた。
私ごとで申し訳ないのだがお笑い芸人のジョイマンさんが大好きで、言葉遊び系のギャグには目がない。
今日は疲れたなぁという時は、沢山散らばったチョコの中をスイスイと散歩するリチャード選手を想像してみたりする。愛くるしい。
野球が本業であるプロ野球選手の一発ギャグを褒めるのは、果たしてどうなのだろうかと思いつつも、実はそのギャグを考えたのが、リチャード選手と同じプロ6年目で育成出身、仲良く同じ時期に支配下登録を勝ち取った『尾形崇斗投手』だということを熱烈な尾形投手ファンの方からお聞きし、私はそのギャグセンスに激しく感動した。
誰かに興奮を伝えたすぎて、このコラムに書くまでに番組でお世話になっているディレクターさんに5万回くらいはこの話をした。申し訳ない。ちなみにギャグを考えついたのは中学時代だそうだ。お気に入りのお笑い芸人は『ジャルジャルさん』。独特なところが好きらしい。
ユニークな香りがプンプンする尾形投手
ファンから『鉄腕シュウト』の愛称で親しまれている尾形投手は、高校卒業後、育成選手として入団し2020年シーズンに支配下登録を勝ち取った。
背番号120から、39へ。
お笑い芸人パンサーの尾形さんが、その背番号『39』に対し、自身の持ちネタが『サンキュー!』であり、同じ『尾形』、同じ宮城県出身ということで、「応援しますっっっ」とSNSで反応したことから、2022年にプロ初勝利をあげお立ち台にあがった際には『サンキューーー!!』と叫んだ。
『鉄腕シュウト』も素敵だけど、『サンキュー尾形』もなんだか万人に分かりやすくありがたい感じがして私は好きだ。
バズーカみたいな、しなやかで力強い150キロ超えのまっすぐが特徴で、投げる時の躍動感のある右足をみていると、まるで大きなバネが身体の中に入っているみたいだな、と想像してしまう。レジェンド藤川球児さんの代名詞になぞらえ『火の玉ストレート』と表現されることもある。ギュインと伸びていくみたいな軌道で、ボール側もなんだか気持ちが良さそうだ。
時には『ウオォ!』と声を出しながらの投球、そして抑えた後のパフォーマンスから気迫が伝わってきて見ているこちらも熱い気持ちになる。
ガッツポーズで吠えたり、パン!と手を叩く日もあるが、最近はWBCでも話題になったメキシコ代表のランディ・アロザレーナ選手の『ドヤ顔』と『腕組みポーズ』を二軍戦のマウンド上で決め、SNSでも話題になった。その名も……本人曰く、『オガザレーナ』。ファンを楽しませたい、そしてなんと言われようと自分の意志はブレないのだ……という気持ちからやっている。
いつか1軍の9回を抑え、勝利した時にはやりたいのだという。
冒頭のギャグのエピソードしかり、ユニークな香りがプンプンする尾形投手は、発想やインタビューの言葉選びが面白いエンターテイナーだ。
「まっすぐを磨いた者が本物のピッチャーになれると気づいた」「将来活躍するために時が流れている」
……なんだか少年漫画の主人公のセリフみたいだが、考え抜いて真摯に向き合っているからこその言葉だというのも、そのまっすぐな目から伝わってくる。