石原 妹のアメリカ人の夫は、「君がお姉さんを助けられるなんて、とてもいいアイデアじゃないか!」と、とても喜んでくれました。
私たちの父はすでに他界していましたが、妹家族と同居していた母には、心配するのが分かっていたので、すべて決まってから事後報告しました。母に打ち明けたとき、やはり最初は不安そうでした。フルタイムで働く妹が、妊娠しながら仕事と自分たちの子の育児をこなすことができるのかと。でも「もう決めたことなら、食事とか自分ができることはヘルプするから」と、最終的には賛成してくれました。
依頼者と代理母が結ぶ「契約」
――妹さんに代理母をお願いするうえで、金銭的な契約は結ばれましたか?
石原 医師からは、親族とはいえ、代理母をお願いするにあたっては必ず弁護士を通して代理出産契約を結ぶようにと言われていました。そうしないと、医師としても投薬などの医療処置ができないからです。当然私たちも、妹という関係性に甘んじることなく法的なことはしっかりしようと、謝礼金や生命保険については一般的な代理母出産で結ばれる契約とほぼ同じ内容で契約を結びました。
――カリフォルニア州における代理母出産では、依頼する側と代理母の間で一般的にどのような契約が結ばれるのでしょうか?
石原 アメリカにおける代理母出産では、胎児の心拍が確認された時点で妊娠の始まりとされます。
カリフォルニアでは有償での代理母出産が認められていますので、たとえば謝礼金が4万ドルとすると、心拍が確認されてから出産するまでの10カ月間に、だいたい10回払いで月4000ドルずつ支払われる形です。
ほかにもたとえば、受精卵の移植のため指定された医療機関に行かなくてはならない際や、妊娠中に医師から安静の指示が出た場合などは、自分の子どもの育児が難しくなりますよね。ですので、その間のメイドさんやシッターさん代のほか、緊急帝王切開になってしまった場合や、双子出産になった場合は追加で謝礼金を支払うなど、「こういうケースになったらいくら支払う」というのをあらかじめ詳細に決めていきます。
また、金銭的なことだけでなく、代理母は医師とのアポイントメントはちゃんと守ること、決められた通りに服薬すること、親権は依頼者側にあること、そして子どもが何らかの障害を持って生まれてきた場合でも依頼者が引き取り育てていくことなどが、契約として決められていきます。
――石原さんの場合、資金面はどのように確保されましたか?
石原 私たちの場合、ざっくり見積もっても、当時で費用総額は1000万円以上はかかることが分かっていました。お金については準備できるのか常に不安でしたが、当時夫婦で所有していた投資用の物件を売って、代理母になってくれる妹への謝礼も含め、代理母出産の費用にあてることにしました。
医師にかけられたシビアな言葉
――いよいよ40歳目前にして姉・妹間の代理母出産がスタートするわけですが、お子さんを授かるまでのプロセスについてお聞かせください。