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「中学生になったらスケボーを辞める」「校則でSNSをやっていなかった」初めての大会で挫折、泣きじゃくり…コーチが明かす、金メダリスト吉沢恋(14)の大きな転機

「中学生になったらスケボーを辞める」「校則でSNSをやっていなかった」初めての大会で挫折、泣きじゃくり…コーチが明かす、金メダリスト吉沢恋(14)の大きな転機

パリ五輪スケートボート女子ストリート #1

12時間前
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コーチが語る、小学生の頃の吉沢恋

 スケートボードとの出会いは2016年の秋頃。同年春に地元の神奈川県相模原市にスケートボードプロショップ、ACT sb storeがオープンしたこともあり、兄の影響でスケートボードを始めた。同ショップのオーナーであり彼女を当初から見続けている寺井裕次郎さんは当時の様子を次のように語る。

吉沢恋 ©JMPA

「恋ちゃんはショップがオープンして半年くらいでスケボー始めた女の子なんです。自分が基礎からずっと教えていたんですけど、もうその時からとにかく練習する、反復できる子でした。

 他の子だったら飽きちゃうような同じことをエンドレスに毎日のようにやっていました。小学生の時は1日6時間ぐらいやってたんじゃないかな。恋ちゃん見ない日はないくらいで、時間があればあるだけ練習していました」

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 ただ運動能力がずば抜けて高かったのかというと、そうではなかったそうだ。当時は他にも10人ほど教えていたが、他の子の方が能力が高く覚えるのも早かったとのこと。

「自分がショップをオープンしてからのひとつの目標に世界的なプレイヤーを出したいっていうのがあったんです。だから当時の子たちにはすごく厳しくしてたし、きつかったと思います。自分もかわいそうっていう気持ちがあって今はそういう教えは辞めたんですけど。その中で最後まで残ったのが恋ちゃんなんです」 

西矢椛(左端)、赤間凛音(右端)らと同じ舞台で滑る2022年の吉沢恋(中右)。この頃から徐々に頭角を現していった ©︎Yoshio Yoshida

 でも当然それだけで金メダリストになれるはずもない。そこに拍車をかけたのが限られた情報源と地元のスケートボーダーだった。

 Instagramはスケートボードコミュニティと相性がよいと言われているが、彼女は小学生の間は校則もあってSNSをやっておらず、メディアも全く見ない子だったため女子のレベルを知る機会がなかった。

 そうすると会うのは当然地元の小山公園スケートパークのローカルになるのだが、そのレベルがまたすごい。

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