自由・反抗・挑戦 5

短期集中連載 ジュリーがいた

島﨑 今日子
エンタメ 芸能 テレビ・ラジオ 映画 音楽

「なんでPYGのことやってくれへんのん?」志を一つにした仲間が、毎夜議論し、歌いたい曲を歌った楽しい時間。しかし訪れる、別れの時――。第3章終幕。

 

(しまざききょうこ 1954年、京都市生まれ。ノンフィクション・ライター。著書に『森瑤子の帽子』『安井かずみがいた時代』『この国で女であるということ』『だからここにいる』などがある。)

 他誌に先んじてPYG結成を報じたのは、「週刊平凡」1971年1月21日号であった。「沢田研二、萩原健一ら6人が新G・Sを結成!」というタイトルで、サブに「7日深夜都内の料亭で、秘かに打ち合わせ」とある。

 記事の内容は――7日当日は、東京プリンスホテルで渡辺プロの新年会が開かれており、ザ・タイガースのメンバーも出席。パーティー終了後に、沢田と岸部修三(現・一徳)、マネージャーの中井國二が四谷にある小料理屋「錦水」へ駆けつけると、そこにザ・テンプターズの大口広司と萩原健一、ザ・スパイダースの井上堯之、大野克夫がいて、熱っぽい議論が闘わされていた。〈……いままでできなかったようなことをやっていこうよ〉〈ステージ中心にロックを……〉。約2時間後、〈……そんなこといってるから、タイガースが解散になっちゃったのだって当然だよ!〉とショーケンが大声でまくしたてながらサリー(岸部)と車で去り、仏頂づらのジュリーが大口の車で立ち去った――とある。

 井上が記者にバンド結成を認めて、〈いままでの、ショー的なテレビ出演はいっさい拒否して――本格ロックはすたらせたくないですからね〉と抱負を述べていた。リーダーの井上が「本格ロック」と語るのに、見出しが「新GS」となるところにPYGの悲劇があった。ロックという言葉は、芸能誌にはまだそぐわないものだったのだろう。後になってもPIG、としていた雑誌もあった。

 40年近くたって沢田は、週刊誌が張り込んだこの夜のことをラジオで語っている。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2021年10月21日号

無料ニュースレター登録はこちら

今すぐ登録する≫

新規登録は「初月300円」から

今すぐ登録する≫