人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。

 子供の頃はいい人、悪い人、せいぜい面白い人、面白くない人ぐらいの分け方だったけど、それがいつしか自ら進路を決めなければならなくなった時、憧れの対象としてヘンな人の存在が浮上してきた。

 ここでのヘンな人とは、凡人がなかなか理解し難いいわゆる芸術家肌の人物を指すが、上京し知り得たW氏は先輩の中でも取り分けヘンな人だった。

「あんた、今、セックスしてるでしょ?」

 と、気が向くと昼夜問わず電話を掛けてくるのだ。世間的に言う代表作こそないが、W氏の漫画はヘンな人でなければ描けない貴重な代物。大いに影響を受けていたこともあり、無下に出来ず、毎度、その禅問答のような問い掛けに難儀した。

 でも、どんな状況であれ見ぐるしいほど愛されたい(糸井重里氏Ⓒ)な僕としては、

「してる最中です!」

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source : 週刊文春 2021年11月18日号