平手友梨奈が女性騎手役のドラマ、『風の向こうへ駆け抜けろ』。令和3年の掉尾を飾る「超強力ドラマ」であった。もう力入りすぎ。
中央競馬でデビューしたものの1勝もできずにいた女性騎手(平手友梨奈)が地方競馬に移籍して、やる気をまったく感じないやさぐれ調教師(しかしわりとイイ男。中村蒼)、女に塩まいたりするガンコジジイ厩務員(大地康雄。久しぶりに見たなあ)、馬の心がわかる失声症の美青年厩務員(板垣李光人。BLぽい)なんかが揃った厩舎の所属となり、誰も手をつけられない暴れ馬とともに再び中央の舞台に挑戦する……と、こう書いただけでもうお腹いっぱいですよ!
他にも、平手ちゃんにセクハラ仕掛ける池内博之のエロ馬主とか、チャラチャラしたイヤな女馬主で最後には改心するという、お約束の脇役を剛力彩芽がすごい好演(宇宙に行った前澤友作さんに負けていない)! もう見どころ満載。
製作にはすごく手間も金もかかっている。地方の競馬場や厩舎のうらぶれ方、とくに厩舎と大仲(厩舎内の人たまり場)が超リアル。鈴田競馬場(この舞台になる架空の地方競馬場)の広報のおじさんも、リーディングジョッキー池田(降谷建志)も「この世にほんとに鈴田競馬があり、実物を連れてきたのか」というぐらい本物感あふれる。
で、平手ちゃんだ。「実力の足りないアイドル女性騎手」感がバッチリ! 中央で1勝もできず、地方に移籍してもなかなか芽が出ない……のだが何しろ平手ちゃんであるから、気難しいおっちゃん厩務員も、やさぐれ調教師も、失声症の美青年厩務員も、あっという間に平手ちゃんにメロメロ、廃業寸前だった厩舎が、平手ちゃんを中心にひとつになり、ビクトリーロードを歩みはじめる。すごい! それがドラマってもんだ。
しかし、平手ちゃんは牧場の娘で、そこに引退した馬がやってきて、その大好きな思い出の馬がいて、その馬が中央でGⅠレースを勝った、その時の騎手が、なんと目の前のやさぐれ調教師だった!……なんという感動的展開。しかし牧場の娘で騎手になった子がそれ知らないってありえるか。ふつうその馬の現役時代の戦績とか見るよな。そういうことすらしてなかったのか平手ちゃん。中央時代1勝も出来なかったのって、そういう勉強不足もあったんじゃないかと思わされた。
あと、ちらっと出てくる武豊騎手(本物)、話題の人気騎手になった平手ちゃんとお正月対談に出てくるというこれもまたリアルな設定だったが、もっと重要な、平手ちゃんが「騎手として目ざめる一言」とかを言う役で出てほしかった。あまり演技がうまそうじゃないからムリか。ならルメール騎手ならどうか。きっと上手にやると思います。
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source : 週刊文春 2022年1月20日号