メジャーリーグ(MLB)では、今年から「ユニバーサルDH」制度となり、これまで九人野球だったナ・リーグでも投手が打席に立つことはなくなった。
しかもこれまでは一度、指名打者を解除したら、途中で復活させることはできなかったが、ロサンゼルス・エンゼルス、大谷翔平投手(27)の活躍で、投手として打順に入って先発した選手が、降板後に指名打者を復活させて出場できるようにルールを改正。大谷のリアル二刀流での活躍を加速させている。
もちろん大谷のような選手は別格で、交流戦が始まった日本のプロ野球では、普段は打席に立たないパ・リーグの投手たちが、慣れない打撃に四苦八苦している。6月3日の東京ドームでの巨人戦で今季初打席に立った令和の怪物、ロッテ・佐々木朗希投手(20)も、そんな投手の一人だった。
無風のドーム球場での試合。強風がスタンドで跳ね返り、投手にとっては逆風となる本拠地・ZOZOマリンスタジアムほどフォークが落ちず、立ち上がりから苦しい投球だった。そして問題の打席は、2回二死満塁の先制機という場面。あっさり2球で追い込まれたがフルスイングのファウルで4球粘り、結果は8球目を打っての2ゴロ。一塁に全力疾走して、試合は攻守交代となった。
ベンチに戻ると、すぐさま軽くキャッチボールをしてマウンドに向かった佐々木は、規定の投球練習をして先頭打者のグレゴリー・ポランコ外野手に対した。そのポランコに右翼線に三塁打を打たれると、続く増田陸内野手にも右中間に先制二塁打を浴びてしまう。その後も4球、送りバントでピンチを背負うが何とか後続を抑えて1失点でこの回は終了。しかし明らかにリズムを崩して、3回には岡本和真内野手に今季初被弾となるツーランを浴びた。
慣れない打席でフルスイングを続け、しかも全力疾走で息も切れていた。いつもは味方の攻撃中にベンチ前で入念にキャッチボールを繰り返してマウンドに上がるが、それも軽く2、3球で済まさなければならなかった。この打席が次の投球に影響したことが、十分に推察できる結果だった。
「慣れないことだったので大変だったんですけど、特になかったです」
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source : 週刊文春 2022年6月16日号