今年4月1日、大手回転寿司チェーン「無添くら寿司」の現役店長が店の駐車場で焼身自殺を図るという痛ましい事件が起きました。同僚たちの証言によると、店長は上司のパワハラに苦しんでいたといいます。第一報が出た後、編集部には多くの現役従業員、元従業員から「私もパワハラを受けた」という告発が寄せられました。くら寿司で今、何が起きているのか。「週刊文春」がこれまで報じてきた記事をまとめました。
今週号の週刊文春ではアイリスオーヤマの子会社・アイリスチトセの従業員の自殺問題を報じました。大企業の従業員が自ら亡くなるという意味では今年4月1日、くら寿司の現役店長が自分の車のなかで焼身自殺をする痛ましい事件も起きています。共通点のある2社の事件ですが、対照的だったのは取材に対する応対でした。これによってその後の印象が大きく変わってしまったともいえます。いったい何が明暗を分けたのでしょうか。アイリスオーヤマを取材した黒川記者、6週間にわたってくら寿司の取材を続けている高橋記者の2人が解説します。
「『うちの子が障がい者やから軽んじているんですか?』と聞くと、店長は『はい』と言ったのです」
そう明かすのは、大手回転寿司チェーン「無添くら寿司」の大阪府にある店舗で勤務していた吉田達彦さん(仮名・25)の叔母だ。
「10年以上勤めてきて、数々のパワハラを受けてきました。『死にたい』『消えたい』と思ったこともある。それでも会社に変わってほしくて交渉をしてきました。しかし結局、何一つ変わらなかった。私はくら寿司を提訴します」
こう語るのは、大手寿司チェーン・くら寿司の現役従業員である。
週刊文春が報じた、大手寿司チェーン「くら寿司」店長の焼身自殺。死の背景に上司によるパワハラがあったと従業員が証言しました。今回、取材に応じたのは亡くなった店長の実姉です。遺族への対応があまりに酷かったと明かしました。一体何があったのでしょうか。
「くら寿司は遺族を恫喝した」焼身自殺した店長の姉が告発
「弟が自殺してただでさえ辛いのに、彼らは私たち遺族を恫喝してきた。本当に許せません。すべてをお話しすることに決めました」
声を震わせてこう語るのは、4月1日に店の駐車場で焼身自殺を遂げた寿司チェーン「無添くら寿司」店長の実姉だ。
【音声番組】駐車場で店長が焼身自殺 甲府の「くら寿司」で何が起こっていたのか
大手寿司チェーン「くら寿司」の現役店長が店の駐車場で焼身自殺を遂げ、世間に衝撃を与えました。従業員は上司のパワハラがあったと証言。一体、何があったのでしょうか。この問題を取材した編集部の高橋記者に話を聞きました。
吉野家、くら寿司……企業スキャンダルが大きくなる時
驚いたのが、今週号で報じた大手回転寿司チェーンの「無添くら寿司」の対応でした。東証プライムに上場し、コロナ禍でも業績絶好調の「くら寿司」。そこで店長を務めていた中村良介さん(仮名・享年39)は勤務先の駐車場で車内で火を放ち、命を絶ちました。「文春リークス」には、焼け焦げた写真と共に、中村さんを知る人の無念の想いが綴られていました。
【写真】「くら寿司」店長、最後の決断
駐車場に集まる警察と、その中央にある焼け焦げた乗用車。ところどころ炭化しているのが火の勢いを物語っている。4月1日午前4時20分ごろ、山梨県甲府市内の「無添くら寿司」駐車場内で、1台の乗用車から出火し、車中の男性一人が焼死した。実はこの男性はくら寿司の社員。店長を任されていた中村良介さん(仮名)だった。
「くら寿司」店長が店の駐車場で焼身自殺した 従業員が悲痛告発する「上司のパワハラ」
「店長は上司から日常的にパワハラを受けていました。いつも疲れ切った様子だったのですが、こんな惨(むご)い形で亡くなるとは思わなかった。死の理由を有耶無耶にされたくないのです」
小誌にこう告発するのは、大手寿司チェーン店「無添くら寿司」で働く現役の従業員である。
source : 週刊文春