(たけはらしんじ 元プロボクサー・タレント。1972年広島県生まれ。89年にプロデビューし、95年に日本人初のWBAミドル級王座獲得。TBS『ガチンコ!』内の企画「ファイトクラブ」で、ボクシングを通じて若者たちを更生させる熱血指導が人気を博す。2017年、闘病生活をまとめた『見落とされた癌』を出版。)
広島からボストンバッグひとつ持って上京したのが1988年の9月9日でした。中学のとき高校を5校受験したんですけど全部落ちちゃって、卒業後地元で最初にやり始めたのが吹き付け塗装の仕事。それから防水屋、印刷屋、土木と転々としたけど、どれも中途半端で続かなかったですね。同級生が楽しそうに高校へ通っているのを、うらやましいと思いながら横目で見ていました。
当時僕は典型的な不良少年で、暴走族、喧嘩、パチンコに明け暮れていて、ほんと情けなかったです。突っ張ってはいるけど、将来の夢がない。そうこうするうち、ある喧嘩でにっちもさっちもいかなくなって、それがきっかけで自分はいったい何やってるんだろう、とすごく虚しくなったんですね。
自分を変えたいと思い、昔プロボクサーだった親父に「ボクシングやりたい」と相談して、東京のジムを探してもらったのがボクサーの道に進む始まりでした。上京後はあちらこちら頻繁に引っ越しましたし、実家時代を含めると人生で13、4回は家を変わっています。
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source : 週刊文春 2022年11月17日号