(1970年、滋賀県生まれ。お笑い芸人。本名、中本哲也。98年にお笑いコンビ、テツandトモを結成。「♪なんでだろう〜」が03年新語・流行語大賞「年間大賞」を受賞。全国各地で老若男女楽しめるお笑いと歌のステージを展開。22年にはCDシングル「愛しい人よ C/W あなたがくれたもの」をリリース。)

 

 歌手になれていないし、役者をやっていてもパッとしない。かといって、歌手以外になりたいものはない。当時もう28歳で、フラフラしてもいられない。そんな時に芸能事務所にスカウトされたけど、芸人として取りたいって話だったんですよ。このままダメだったら実家に帰ろうと覚悟を決めていた頃だったので、悩みに悩みました。でも、事務所からブラ下げられた“餌”に飛びついて、芸人になったんです。

 一度聞いたら耳から離れない「♪なんでだろう〜」のメロディに乗せて“あるあるネタ”を繰り出すお笑いコンビ、テツandトモ。動き担当のテツこと中本哲也さんは、1970年5月9日、滋賀県滋賀郡志賀町(現・大津市)に生まれた。

 実家は、目の前が国道161号線(現・県道558号線)、琵琶湖から徒歩5分という立地。当時の161号線は昼も夜も車がたくさん走っていて、両親はそこに勝機を見出したんでしょう。国道を挟んだ向かいの土地で、喫茶店を営んでいました。「コーヒーショップRIKYU」っていう、和洋折衷にも程がある店名なんですけど。小学生の頃に手伝いをして、ホットケーキにマヨネーズを乗っけてお客さんに出しちゃったことを覚えてますね。

 でも、バイパスが開通して国道を走る車が減って、経営が厳しくなって閉店。店の隣に工場を建てて、精密機器メーカーの部品作りの会社を始めました。いまも両親で頑張ってます。

『ちびっこものまね紅白歌合戦』に出場。将来の夢は料理人から歌手へ

 住んでいた家は、土間とかまどが残ってる古い木造。そこに両親、父方の祖父母、僕、5歳下の妹の6人で暮らしていました。1階にキッチンと居間、親父の書斎、仏間、寝室。2階に祖父母の部屋、2階建ての離れもあって、後にその2階に僕と妹の部屋をあてがってもらいました。とにかく古くて、トイレは外にあってくみ取り式。便器や床がひび割れてて、用を足すたびに落っこちるんじゃないかって震えてました。それから、畑、鶏小屋、椎茸の原木もあったんですよ。なので「今夜はすき焼き」というと、我が家は牛肉じゃなくて鶏肉。絞めたばかりの鶏と、原木からもぎ取った椎茸が具になるんです。なかなか自給自足を地でいった家で、おのずと「いのちをいただく」ありがたみを学べたと思います。

イラストレーション 市川興一/いしいつとむ

 1977年、町立木戸小学校に入学。父の影響もあって、歌に魅せられる。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

週刊文春 電子版 PREMIUMMEMBERSHIP 第1期募集中 詳しくはこちら

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

スクープを毎日配信!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2023年2月23日号