イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 今年は国内外でスポーツにまつわるパワハラや体罰問題が噴出したわね。非常識な体質の「ブラック部活」への批判が一気に高まり、スポーツ庁も運動部の週二日以上の休養を基準とするガイドラインを出した。二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックを控え、いよいよ国も学校スポーツの健全化に本腰を入れ始めた。

 そんな中、十一月にユニセフと日本ユニセフ協会が「子どもの権利とスポーツの原則」という指針を発表。スポーツにおける子供の権利と安全を守るため、スポーツ団体や指導者、企業などが取り組むべき十の原則が高らかに掲げられた。「子どもの権利条約」の精神に則った、実に先進的な内容よ。

 まず前文で「『遊び』や『スポーツ』は、『教育』と同様に、子どもたちの人生に、大きく前向きな影響力を持っています」と、子供にとってのスポーツがもつ意義を述べている。そして「子どもの権利の尊重と推進にコミットする」と明記し、「子どもの最善の利益」を最重視することを宣言。そのために、子供の意見を尊重することや、勝利至上主義からの脱却を目指すこと、スポーツを通じた子供のバランスのとれた成長に配慮すること、そして全ての子供へのスポーツの機会の提供もうたわれる。

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 将来の職業としてスポーツを目指す子供たちもいる一方で、一部の子供たちにとっては、純粋にレクリエーションや楽しむためのもの。体罰や暴言、過度な練習や理不尽な指導法が原因でスポーツが嫌いになってしまうのは残念ね。今回の指針では、指導者にも適切な人選、教育・研修を求める内容も盛り込まれた。

 本指針をすでに具現している先進事例をメディアは積極的に紹介し、部活や地域クラブ等で取り入れる環境づくりを進めたい。スポーツは子供も大人も成長させ人生を豊かにする。指針を生かし、皆でスポーツ文化を高めたいわね。