価格8500円という豪華写真集『鳩と桜 防衛大学校の日々』が発売後1カ月で重版決定! シュリンク包装(ビニールでラッピングされている)のため、書店では中身が全く見られない「謎の写真集」を撮影したのは、数々のスクープ写真で知られる報道カメラマン・宮嶋茂樹氏。宮嶋氏が知られざる防衛大学校の姿を語ります。
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かっこよかった米陸軍士官学校の写真集
――そもそも防衛大をテーマにしようと思ったきっかけはなんだったんですか?
宮嶋 防大の幹事、制服組のトップが中学の同級生でして、彼がアメリカの陸軍士官学校、ウエストポイントに研修で訪れたときに記念にもらったという写真集を見せてくれたんです。これがかなり質の高い写真集で。
――かっこよかった。
宮嶋 でも、ワシにもプライドがあるから、「まあ、ワシならもっとうまく撮れるで」とかふっかけた(笑)。そうしたら、実はこういうものをもらってもわれわれは返礼できないって彼が言うんですわ。防大にはこういう写真集がない、と。いつもパンフレットをお返ししとったという。いわゆるお役所が作るパンフレットみたいなのを。だったらワシがやってみようと思うたんや。
――でも、最近、写真集は売れない、というのが定説ですよ。
1万円の卒業アルバムを作ろうと思っていた
宮嶋 ただ、防大の学生、OBは母校に思い入れの強い人が多いなと感じてたんで、こういう本が出たら絶対買うなというのがあった。現役の学生が研究科も入れて約2400人。プラス父兄、OBを考えると3000はカタいなと。それを卒業アルバムみたいに年に1回1万円で出したらどうや……と皮算用しました(笑)。まあ、そううまくいくかはわからんけど。
――1万円!
宮嶋 防大のイベントなんかいくと父兄がよく来てるんですわ。で、みんなカメラかついで走り回ってる。これやったら俺の本売れるわ、とスケベ心が(笑)。だいたい防大は授業料払う必要ないし、集団生活やから下宿代、食費、みんなかからん。うちは俺が大学行くとき、父親に給与明細を見せられて、お前ひとり日大に行かせるのがいかに無謀かと引き止められたけど、防大生は違うからね。これは、購買意欲高いだろう、と。