私は就職コンサルタントとして、高校生から無名の大学、そして東大生まで、20年以上にわたり就活の支援をしてきた。その中で感じたことは、国立、私立に関わらず、偏差値の高い大学生の親にはお金持ちが多い、ということだ。
以前は学費の高い私立大学生の親に、お金持ちが多い、という印象があった。ところが現在では、私立大学でも偏差値の低い大学では、お金持ちが少ない。
東大、一橋、東工大、早大、慶大は奨学金受給率が低い
このように私が経験的に感じたことを、裏付けるデータがある。「学校毎の貸与及び返還に関する情報・2016年度」(日本学生支援機構)だ。
日本学生支援機構とはかつての日本育英会であり、政府の奨学金を管理する団体だ。本団体が公表している奨学金の返還状況のデータから、大学ごとの奨学金受給率を計算することができる。
受給率が低い大学の親は、奨学金を借りる必要のないお金持ちが多いと言える。一方、受給率が高ければ、お金持ちが少ないと考えてよいだろう。
私が奨学金受給率を大学群ごとに計算してみた結果は次の通りだ(自著『学歴フィルター』(小学館新書)でも簡単に触れたが、今回は最新データで再計算している)。
東大、一橋、東工大、早大、慶大といった偏差値の高い大学生の親ほど、お金持ちが多いことがわかる。
一方で大学の偏差値が下がるほど、お金持ちが減っていく。河合塾で全学部全学科ボーダーフリー(Fランク)と判定された5大学では、上位5大学と比較すると、なんと約2.5倍も受給率が高いのだ。
社会的公正という観点から、これは大きな問題だと私は考えるが、なぜこのようなことが起きてしまうのだろうか?