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小池徹平、山崎育三郎、磯村勇斗……今期、バイプレイで魅せたアラサー俳優3人衆

“普通”の恋愛ドラマがどんどん減っている昨今ですが

2018/12/16

「これでもか!」な勢いでおバカな芝居を繰り出す福田組

 最後に注目したいのが今期の大穴(?)ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ)で悪の巣窟・開久高校のNO.2、相良猛を演じる磯村勇斗さん。

『ひよっこ』でも好演した磯村勇斗 ©文藝春秋

 1980年代の千葉を舞台に軟高、紅高、開久と、3つの高校のツッパリ(ヤンキーではありません、あくまでツッパリ)たちが繰り広げる青春学園コメディ。脚本・演出が『勇者ヨシヒコ』『銀魂』シリーズの福田雄一氏ということで、手練れの俳優陣が「これでもか!」な勢いでおバカな芝居を繰り出しています。

 当初、制作サイドはアラフォーから80年代ドンピシャのアラフィフ世代をメインターゲットに据えていたと推測するのですが、ふたを開けてみれば小学生から高校生に大人気。そういえば家の前の保育園でも園児たちがドラマの主題歌『男の勲章』を毎日嬉しそうに歌っています。いいのか、教育上。

爽やかキャラが…… ©文藝春秋

あえての「クズ転向」に拍手

 これまでの磯村さんというと、代表作は有村架純さん主演のNHK朝ドラ『ひよっこ』で演じたコック見習いのヒデ。白いコック服を身にまとい、陰からみね子を見守って、最後はめでたく夫婦になる。あー、良かった。最後はちゃんとした人が幸せになるのねえ……と、オトナ女子たちの安心をかっさらいました。が、本作では陰湿な卑怯さでアタマを追い落とし、汚すぎる手を使って軟高の三橋(賀来賢人)と伊藤(伊藤健太郎)を潰しにかかる極悪モードに。

「朝ドラでの爽やかなヒデはどこに行ったの?」と涙目になりつつ、アッシュの髪に眉毛を消して挑んだ清々しいまでの卑怯者キャラに心からの拍手を贈りたい。だって、普通の若手だったら1回売れた役柄をしばらくなぞって人気とイメージをキープするはずなんです。そこをあえての「クズ転向」。さらに、この相良って同情の余地も可愛げも一切ない「究極のクズ」なんですよ。これは演じる側もある種の振り切りがないと成立させられない。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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 今期のドラマのバイプレイで輝きを見せたアラサー俳優3人衆。彼らの共通点は「主演も張れるプレイヤーが覚悟を決めて新たな境地に挑んだ」こと。近年、バイプレイが注目されるひとつの理由が、主役に比べ、振り幅のあるキャラクターを存分に魅せられるからかもしれません。

 それにしても本当に減ったなあ“普通”の恋愛ドラマ。なんてことを思いながら、すっかりLEDモードになったクリスマスのイルミネーションを見上げるのでした。