問題だらけの技能実習制度に山下法相は……
山下貴司 法相
「在留資格は別物だ。密接不可分ではない」
朝日新聞デジタル 11月21日
問題が多い現行の外国人技能実習制度はそのまま温存されることになる。山下法相は「そもそも制度が異なる」と述べ、両者は関係がないと主張した。
技能実習制度は1993年に創設されたもので、発展途上国から受け入れた技能実習生に、日本で技能を学んでもらい、本国に帰ってから自国の経済発展に寄与してもらうという国際貢献の一環だった。
しかし、当初在留期間2年、17職種を対象に始まった制度は、現在は最長5年、77職種に広がっている。経済評論家の森永卓郎氏は「いつの間にか、単純労働受け入れの隠れ蓑に変質していった」と指摘している(マガジン9 12月12日)。劣悪な労働条件を課される実習生も多く、人材ブローカーから高額の手数料を負わされる問題も発生。厳しい労働条件によって失踪した実習生の数は昨年1年だけで7000人を超えた。「失踪」というと本人が悪いようだが、劣悪な環境に耐えかねた「脱走」も多い。明らかに異常だ。
技能実習生をめぐる法務省の調査のずさんさが明らかに
山下貴司 法相
「心からおわびする」
朝日新聞デジタル 11月21日
失踪した技能実習生に関する法務省のずさんな調査の実態も発覚した。山下法相は11月7日の参院予算委員会で、法務省による失踪外国人技能実習生の調査結果を引用しつつ、「より高い賃金を求めた失踪が約87%」と答弁していた。だが、法務省の実際の調査結果は「低賃金」による失踪が「約67%」で、項目名も数値も間違っていた。
20日に行われた記者会見で山下氏は「低賃金」などの回答をした場合に入国管理局の職員が置き換えていた「より高い~」という表現について、「平成27年夏から対外的に使われており、その後も漫然と使用されていた」と説明していた(産経ニュース 11月20日)。法案の土台となるデータの信頼性が根本から問われる事態となったが、それでも法案は成立した。