国会が紛糾している。外国人労働者の受け入れ拡大にともなう入管法の改正について、だ。
この問題は、政治家からは長年タブー視されてきた。なぜかといえば、票に結びつかないからである。一般的な有権者にとって外国人労働者は遠い存在であったし、「移民」という言葉を使えば「治安が悪くなる!」「雇用が奪われる!」という反発が容易に予想される。
今回、6月の「骨太の方針」発表からほとんど準備なしでフタを開けてしまったことで、マスコミや世論を巻き込み、混乱がさらなる混乱を招いている。
30年前から議論されていた外国人労働者受け入れ
外国人労働者受け入れの議論自体は、実は今に始まったことではない。1988年には政府内に「外国人労働者問題関係省庁連絡会議」が設置され、労働人口の減少に伴う外国人労働者の必要性が説かれていた。いまから30年も前の話である。
日本ではすでに100万人以上の外国人労働者が働いている。本来的には正規の労働者ではない技能実習生や、働く留学生も合わせて50万人を超えている。そこへさらに、新しい在留資格として「特定技能1号、2号」が加わるという。
コンビニや居酒屋でアルバイトをしているような、わたしたちにとって一番身近な外国人労働者は、ほとんどが留学生だ。留学生の数はこの30年間で約10倍に増えた(2017年末の時点で約31万人)。
なぜ、これほど増えたのか。なぜ、労働者ではないはずの留学生が労働力としてカウントされ、結果的に日本経済に組み込まれているのか。
その理由と背景を紐解いていくと、今後の「外国人労働者との付き合い方」も見えてくるように思う。