12月23日の天皇陛下85歳の誕生日に先立ち、11月30日の誕生日を前にした記者会見で、秋篠宮さまは眞子さまのご結婚に対し、断固とした姿勢を示された。名古屋大学大学院人文学研究科准教授の河西秀哉氏が、眞子さまのご結婚をめぐる問題と象徴天皇制の関係について解説する。

53歳の誕生日を前に、記者会見に臨まれる秋篠宮さまと紀子さま 宮内庁提供

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秋篠宮さま誕生日会見での2つのキーワード

 11月30日の秋篠宮文仁親王の誕生日に際しての発言は、大きな話題となった。特に注目されたのが、第一に大嘗祭についての発言である。それが「皇室の行事」であり、「ある意味の宗教色が強いもの」であるから、「それを国費で賄うことが適当かどうか」と疑問を呈し、天皇などの日常経費である「内廷会計で行うべき」と主張したのである。しかも、そうした意見を「宮内庁長官などにはかなり」言ったにもかかわらず、「聞く耳を持たなかった。そのことは私は非常に残念なことだった」と批判した。これが、政府が決めた方針に対しての異議申し立てではないか、政治的発言ではないかと問題視されたのである。

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 第二に、眞子内親王と小室圭さんの結婚をめぐる問題での発言である。ここでは、過去の秋篠宮発言を見ながら、この第二の発言の意味を考えてみよう。

第65回日本伝統工芸展授賞式に臨席された眞子さま ©JMPA

「もう少し自由があってもいいのではありませんか」

 1985年、成年となった文仁親王は記者会見のなかで、「成年皇族として皇室と国民の関係を親密になることを希望しています」と述べた(「朝日新聞」1985年11月30日)。「象徴」として日本国憲法で定められた天皇制は、国民とともにあるべきだとの姿勢を示したが、これは後に「開かれた皇室」と呼ばれるようになる父親の明仁皇太子の方針をまさに引き継いだものであった。

皇太子同妃両殿下(当時) 宮内庁提供

 その後も、こうした方針は述べられつつ、会見では兄の徳仁親王以上に、ざっくばらんに発言を展開していく。たとえば、自身の結婚について理想の女性像を「会話していて楽しいことが条件」と述べるなど、自らの意見や考えを積極的に表明している。また兄の結婚について「みんなに注目されれば、女性とのおつき合いも難しくなる。もう少し自由があってもいいのではありませんか」と主張し、マスメディアが徳仁親王の結婚相手候補を過剰に報道することに対して、やや苦言ともとれるような発言をしていた(「朝日新聞」1988年3月20日)。