創刊70周年を迎えた雑誌『暮しの手帖』編集長・澤田康彦さんが、エッセイ集『ばら色の京都 あま色の東京』(PHP研究所)を上梓した。2010年にマガジンハウスを退職、京都に移住していた澤田さんに編集長就任の打診があったのは3年前のこと。
「京都で暮らしていたときは妻が働き、僕はもっぱら育児担当。お弁当を作ったり、PTAに参加したりと、その時期に暮らしの大事さを学び、経験したからこそ、お声がかかったんだと思います」
本の中では、単身赴任で奮闘する父親としての姿、そして『暮しの手帖』編集部の日常が瑞々しく描かれている。
「広告を入れない極めて特殊な雑誌なので、読者との距離が非常に近い。料理のレシピも必ず会社内で試作、試食して、間違いないと判断してから掲載しています。また編集長としては、次の人にバトンタッチするというのも大事な役割。エッセイの中でも、“縦のつながり”のエピソードが多いかもしれません」
奥様である女優の本上まなみさんの知られざるエピソードも読みどころの一つだ。
「生活者としての彼女の姿は意外と知られていないと思うのでサービス的に書いてみました。ああ見えて、家の中ではめちゃくちゃしっかりしているんです(笑)」