文春オンライン

連載尾木のママで

小学校に英語教育って本当に必要かしら!?

2017/01/19
note
イラスト 中村紋子

 二〇二〇年度から全面実施される新しい学習指導要領。昨年末、中央教育審議会が答申した改定案でボクが気になったのは、何といっても小学校の英語! 現在は五、六年生に実施している週一コマ(四十五分)の「外国語活動」を三、四年生に前倒し。五、六年生は週二コマに増やして「教科」にするというの。

 教科になれば成績もつく。体系的に教えなきゃいけないし、本来なら教員免許が必要だけど、小学校の教師で中・高の英語の教員免許を持つ人は五%もいないのよ。計画としては、国の研修を受けた教員約千人を「英語教育推進リーダー」に認定。そのリーダーが約十四時間の研修を行って、各地で「中核教員」を育成するとか。たった十四時間の研修で「中核教員」だなんて相当無理がある。現場の混乱は必至よ!

「(保護者など)英語に堪能な外部人材を活用し、学級担任とのチーム・ティーチングを」なんて言うけど、担任の先生は忙しすぎて、外部の人と打ち合わせをする時間も取れないはず。コーディネーターもいないし、実現はかなり難しいと思うわ。

ADVERTISEMENT

文部科学省が作成した、小学校3年生の外国語活動向けの補助教材
Photo:Kyodo

 授業時間が足りないことも問題ね。英語が増えるのに「他教科の学習内容も授業時数も減らさない」方針だから枠からはみ出ちゃうの。昼休みや朝の読書の時間を削って英語に充てろとか、無責任な提案ばかり。最新の国際学力調査(PISA)で日本の「読解力」が四位から八位に落ちたから、読書活動を強化するんじゃなかったの!? 矛盾してるわ。

 次期指導要領は早いところでは一八年度から先行実施される。もう準備を始めないと間に合わないけど時間繰りや方法論も「現場に丸投げ」。あまりに無茶苦茶よ! こんなプラン絶対に失敗します。英語が好きな子と苦手な子に分かれて学力格差や学校間格差が生じるのも心配。喜んでいるのは英語学習産業だけね。

小学校に英語教育って本当に必要かしら!?

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー

関連記事