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范のようには声を上げられない技能実習生たち

 実質的な労働者であるにもかかわらず、実習生に職業選択の自由や移動の自由が事実上ほぼ認められないシステム、本国と日本国内の双方に存在する多額の中間搾取、一部の監理団体の不作為のせいでパワハラやセクハラを訴え出られないブラックな職場環境など、外国人技能実習制度の問題点は多い。

 しかしながら、今年12月の入管法改正でも、技能実習制度は廃止されずそのまま残った。極端な低賃金の労働力を5年間固定的に使い続けられる制度は、人手不足に悩む日本の中小企業にとってすこぶる好都合であるうえ、すでに強固な利権構造が出来上がっていることから、政府としても廃止するわけにはいかないのだろう。

2018年3月、私が連絡を取った広島県内の縫製工場で働く中国人技能実習生。1ヶ月の残業時間は130時間で、残業代は1時間450円ほど。同僚の1人が、針が指に刺さり爪の付け根が剥がれる(注.爪が剥がれたということか?)ケガを負ったが、2週間足らず休んだだけで経営者側から職場復帰するよう求められたという

 さておき、元技能実習生の范はそれでも日本が嫌いにはならず、あらためて日本語能力を活かして留学しようと考えたのだが、今回は残念ながら面接に落ちてしまった。しかしこう話す。

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<やはり日本は先進国には先進国なりのいいところがたくさんありまして生まれつきの反骨心を持つ私はどうしても倒れ、ひどい仕打ちを受けたところでひっくり返したいんです。 

 人生とは不思議なもの、倒れたまま、立ち上げられず、終わりか、それとも勇気を持って何度も自分に社会に挑戦するか、人生を大きく左右することはきっとできます。失敗しては立ち上げ挑戦します。私はそう思います。>

 范自身は前向きだし、日本語もできるので、将来はなんとかなるかもしれない。だが、彼の背後には范よりずっと日本語がヘタで、もっと危険だったり安かったりする仕事に従事させられ、メディアに体験を告発する機会もない技能実習生が何十万人も存在している。

 日本の社会を支えている、外国人労働制度の闇はあまりにも深いのだ。