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連れ込んだ女性は300人以上

 女性をアパートに連れ込むようになったのは、捕まる2〜3年前。精神科を受診し、睡眠薬を入手してからのことだ。

〈土日になると始発に乗るために、午前3時には起きて準備をしている。行動パターンも決まっているから、そのパターン通りの行動をする。それができないと落ち着かない。行動は機械的で、ロボットみたいでした〉

 栗田曰く、連れ込んだ女性は300人以上。

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〈胸より上にはとてもおかしなものを感じるけれど、性欲が強いのかがわからない。SEXはそこまで好きではない。300人以上やれる状況でも、20人以内です。裸にしたのも、捕まる3〜4ヶ月前から〉

 栗田は9人の女性への容疑で起訴された。被害者が特定されたのは、免許証を写し込んだ画像を撮っていたからだ。女性たちは警察で画像を見せられ、自分が何をされたかを知り衝撃を受ける。

〈全然、相手のことは考えていませんでした。歯止めになるものが何もなかった。人それぞれ、女性も男性も好きなものがある。手、ムネ、ケツ。そのレベルではありません。『髪の毛とは、人生そのもの』と言えることです〉

©iStock.com

「刑期は務めるだけで、再犯は無くならないと思います」

 裁判で栗田が求めたのは、髪の毛への執着がどこから生まれたのかだった。それがわからないと治療できない。治療できない限り、再犯するからと。

〈『償い』『反省』は刑期ではないと思う。今後、生きるならとても厳しい道を歩くことになるし、それは治療であって、刑期は務めるだけで、再犯は無くならないと思います〉

 なぜ、髪の毛なのか。栗田は36歳になった今でも、生い立ちにこだわり続ける。

〈20歳まで(未成年)でも、相当、長い間、やってきた。その時から自力では無理だとなったと思う。そう思うと、水野も施設も児相もきちんと向き合うべきだと思った〉

 このような犯罪を起こしておきながら、栗田にはどこか他人のせいにしているところがある。

〈(取材の要請を受け)まず考えたのは、水野家に対してどれだけダメージを与えられるのか〉

 水野家の養育を否定することで、栗田は何を得たいのか。この堂々巡りをしている限り、罪と真摯に向き合えるとは思えない。

 なぜ、栗田良文は性犯罪者となってしまったのか――、未来の被害者を出さないためにも、彼の声に耳を傾けて行くことは必要だ。「ただの性犯罪者」として、表舞台から葬り去るのではなく。栗田は控訴した。これからは東京拘置所から手紙が届くことになる。