2018年6月に草津町長の「安全宣言」が出された“草津温泉”。いくつもある共同温泉に湯煙ただよう「温泉らくご」、話題の「八ッ場ダムぷらっと見学会」に参加したらやっぱりまた温泉へ。お湯の違いを愉しむ2泊3日の温泉三昧。

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 群馬県草津町の本白根山が噴火したのは、2018年初頭のこと。そんなニュースがあると、旅先として草津を避けてしまいそうだが、本白根山は温泉街まで約5・5キロも離れている。6月には草津町長の「安全宣言」も出され、すでに温泉街はいつもの姿で元気に営業している。

 観光客が一時減った昨年夏に訪ねてみた。普段は観光客でごった返す昼時の湯畑周辺もガランとしている。湯畑から青空に向けてたなびく湯けむりも、少し寂しげに見えた。

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草津のシンボル・湯畑。

 草津温泉には、地元の人が日常的に使っている共同湯がいくつもある。源泉が異なり、肌触りもさまざま。その中でも、肌に柔らかくあたる「地蔵源泉」は最も好み。ここも、入浴していたのは地元のお婆ちゃんが1人だった。「地蔵の湯」の浴場は木造で湯船のみ。体を洗うためのカランはない。湯の温度は46度か47度ほど。とにかく熱い。水を入れると温泉が薄まるといって地元の人が嫌がるから、そのまま入浴するのが習わしだ。

 まず、桶で湯を汲み上げて足にかけ、身体を洗いつつ、湯の温度に身体を慣らす。慣れたころに息を大きく吸って、勢いをつけて湯に浸かる。「ざぶ〜〜〜ん」。湯が溢れ出る。浴場に響き渡る湯の音はなんとも贅沢。湯の飛沫を上げることなく静かに、けれど勢いよく入る。混んでいないからできる楽しみだ。

「よく来たね、どこから来たの」。お婆ちゃんが話しかけてくれた。話によれば、当時は噴火でお客さんが減って、街の人もその対応に疲れてきていて、お客さんがくることがなによりも励みになるとのことだった。