昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/03/07

 そのほか、コンドームを含めたアダルト用品の購買者は、大卒以上の学歴を持つ既婚男性が多くを占めたという結果もある。中国における性の悦びとは、金持ちやインテリにこそ許される娯楽とも言えるのだ。中国では貧困層を中心に一生結婚できない男性が3000万人以上おり、夜の世界も格差社会である。

 別の調査も紹介しよう。13年に中国性学会が2.1万人以上のネットユーザーの回答を得て発表した『全国網民性福調査』でも、全回答者の「週1回以上」率は70%だった。調査対象者の81%が18〜35歳の若者世代であることも関係しているとはいえ、こちらも驚異の高率だ。

 同調査では、自身の性生活に満足している人は57%。パートナーをエクスタシーに導いて満足させる義務があると回答した男性は94%に達した(ただし、それができていると自任する男性はわずか25%。いっぽう「達したフリ」をした経験を持つ女性は65%もいたそうだが)。

©iStock.com

 ともかく、わずか13年前には性的満足度が世界ワースト1位だった中国のセックス事情は、1980年代生まれ以後の新世代が社会の中心となるにつれて大幅にアクティブに変わっている。いまや、本来の用途はフードデリバリーアプリである『美団』を通じて、部屋へのアダルト用品の即時出前がスマホの操作ひとつでできてしまうような時代なのだ。

 中国は往年の一人っ子政策の影響もあり、世代別人口がいびつだ。あと10年もすれば60歳以上の世代が3億人を突破する「人口の時限爆弾」の破裂を迎え、経済停滞の可能性も囁かれている。

 しかしながら、「週1回以上」が50〜70%に達するという元気な若者のセックス事情を見ていると、セックスレス大国の日本と比べれば、中国はまだ何とかなりそうな気もしないではない。

性と欲望の中国 (文春新書)

安田 峰俊

文藝春秋

2019年5月20日 発売

※社会人・就活生なら押さえておきたい 2019年はずせない論点がこの1冊に!『文藝春秋オピニオン 2019年の論点100』発売中

2019年の論点100: 文春ムック

文藝春秋
2018年11月7日 発売

購入する

この記事の写真(3枚)