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アベノミクスは嘘だったのか? 「毎月勤労統計」不正の影響を政治家の発言から追う

2018年の実質賃金伸び率が大半でマイナスだった可能性

2019/02/02
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「大きな問題はない」と言い放った与党議員

森山裕 自民党・国会対策委員長
「今回はさほど大きな問題はないように今のところ思う」

朝日新聞デジタル 1月26日

 自民党の森山裕国会対策委員長は26日に行われた講演会で「毎月勤労統計」をめぐる不正調査問題について、「大きな問題はない」と言い放った。これが自民党の捉え方なのだろう。その後、森山氏は「誤解を与えるような発言であったとすれば大変申し訳なかった」と謝罪になっていない陳謝を行った(朝日新聞デジタル 1月28日)。

根本匠 厚生労働相
「第三者性への疑念を生じさせたと受け取っている」
「第三者性は担保されていると思う」

毎日新聞 1月29日

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根本匠厚生労働相 ©文藝春秋

 1月29日、根本氏は閣議後記者会見で、特別監査委員会の外部有識者が直接聞き取りをした厚労省幹部の人数について、閉会中審査で答弁した37人のうち20人から12人に訂正した。残りの25人は厚労省の職員だけでヒアリングをしていたという。これはもう外部調査ではない。

 また、根本氏は同省事務方ナンバー2の宮川晃厚労審議官とナンバー3の定塚裕美子官房長が特別監察委員の聞き取り調査に直接関与していたことについて「第三者性への疑念を生じさせたと受け取っている」と述べたが、一方で「事務の手伝いと理解している。第三者性は担保されていると思う」とも述べた。

安倍晋三 首相
「統計への信頼が失われる事態が生じたことは誠に遺憾で、大変重く受け止めている」

毎日新聞 1月15日

 安倍晋三首相は15日、政府・与党連絡会議でこのように述べた。既視感があると思ったら、昨年11月、出入国管理法改正案をめぐって、技能実習生についての法務省の調査結果に誤りがあったことについて、安倍首相が「大変遺憾だ。これまで以上に気を引き締め、丁寧に説明する」と語ったのとそっくりだった(日本経済新聞 2018年11月19日)。