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アベノミクスは嘘だったのか? 「毎月勤労統計」不正の影響を政治家の発言から追う

2018年の実質賃金伸び率が大半でマイナスだった可能性

2019/02/02
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根本厚労相は「国民の信頼回復に努めるのが私の責任」

根本匠 厚生労働相
「(統計不正が)アベノミクスの数字を良く見せるための偽装だという指摘は当たらない」

毎日新聞 1月29日

 安倍首相は根本厚労相の更迭を求める野党に対して、「(根本氏には)再発防止に引き続き全力で取り組んでほしい」と拒否。根本氏もそれに応えるかのように「国民の信頼回復に努めるのが私の責任」と辞任を否定し、菅義偉官房長官ばりのフレーズで野党の追及をかわしてみせた。安倍首相と根本氏の付き合いは長く、第一次安倍内閣では内閣総理大臣補佐官に任命されている。

©文藝春秋

安倍晋三 首相
「所得環境は着実に改善しているという判断に変更はない」

毎日新聞 1月29日

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麻生太郎 財務相
「総雇用者所得が改善しているとの認識に変わりはない」

朝日新聞デジタル 2月1日

「毎月勤労統計」によってマイナス賃金が明らかになっても、政府は所得が改善しているという見解を崩すことはなさそうだ。いったいどういう理屈なのか、丁寧な説明はあるのだろうか?

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、「この問題はスタートが社会保障費の抑制をうたった小泉政権時代で、『データ復元』という不自然な処理があったのが、賃上げを訴える安倍政権下の昨年1月です。つまり、不正は自民党政権が訴える政策に合わせるかのように行われている」と指摘している(日刊ゲンダイDIGITAL 1月25日)。

「ポスト安倍」の反応は……

加藤勝信 自民党・総務会長
「真摯に受け止めていかなければいけない」

時事ドットコムニュース 1月22日

「データ補正」が始まった2018年1月当時の厚労相は加藤勝信氏だった。立憲民主党の枝野幸男代表は「国会に出てきて説明責任を果たすのはマストだ」と国会招致を求める考えを示したが(時事ドットコムニュース 1月18日)、加藤氏は「国会の現場で議論されることだ」と語るにとどめた。加藤氏は第二次安倍内閣で初代内閣人事局長に任命されるほど安倍首相の信任は厚い。「ポスト安倍」とも取り沙汰されているのだという。

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