昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/02/02

野党からは「アベノミクス偽装」ではないかとの声

安倍晋三 首相
「5年連続で今世紀最高水準の賃上げが行われました」

TBS NEWS 1月28日

玉木雄一郎 国民民主党代表
「これはまさに“賃金偽装”、“アベノミクス偽装”といった、深刻な大問題です」

FNN PRIME 1月31日

 平成最後の通常国会が1月28日にスタート。安倍首相は施政方針演説で「毎月勤労統計」の不正調査問題について謝罪したが、「アベノミクス」の成果はこのように強調した。しかし、野党からは「アベノミクス偽装」ではないかという指摘が相次いだ。どういうことか?

©時事通信社

「毎月勤労統計」は04年から17年まで、約3分の1の事業所しか調べてこなかった。ところが、18年1月分の調査から、不正な東京都分のデータを本来の全数調査に近づける「データ補正」を始めている。大規模事業所の数値を3倍にするなどの補正をしたため、平均給与は高くなった。賃金伸び率は、補正していない17年の数値と比較したため、本来より高い伸び率が出ていたのだ(読売新聞オンライン 1月23日)。

 2018年8月7日の日本経済新聞は「賃金伸び21年ぶり高水準」と見出しを打ち、「厚生労働省が7日発表した6月の名目賃金は前年同月を3.6%上回った。基本給などが増え、21年5カ月ぶりの伸びとなった」と報じている。これがすべてウソだったというわけだ。

野党は2018年の実質賃金の伸び率が大半でマイナスになると試算

 安倍政権の看板政策「アベノミクス」は賃金上昇を重視する。このため、野党からは「アベノミクスの成果と首相が自賛した数値の根拠は崩れている」「アベノミクスの数字をより良く見せるために偽装したのではないか」という疑念が出ている。

 では、実際の賃金の伸び率はどれだけだったのか? 厚生労働省は不正発覚後、再集計して「3.3%増」は「2.8%増」だと下方修正した数字を発表した。しかし、数字はそんなものではなかった。立憲民主党、国民民主党などの野党は30日、2018年1~11月の実質賃金の伸び率が大半でマイナスになるとの試算を示した。伸び率は6月と11月を除き、すべて前年同月比でマイナスである。厚労省の担当者は、この試算について「同じような数字が出ることが予想される」として追認した(読売新聞オンライン 1月31日)。

 安倍首相は昨年9月の総裁選で、「大企業においては5年連続、過去最高の賃上げが続いておりますし、中小企業においても過去20年で最高となっています」と語っていたが(産経ニュース 2018年9月14日)、これもすべて虚偽ということになる。共同通信が2月1日に報じたところによると、来週、厚生労働省が賃金マイナスを国会で公表するという。