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嵐・大野智38歳の「セカンドキャリア」と、高度なコミュ力が要求されるSNSでの“無為炎上”を考える

速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである

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最年長の大野くんはセカンドキャリアを考える時期

おぐら 会見のあと、嵐のファンクラブ会員が10万人増えたという報道もありました。

速水 もともと約240万人だった会員数が、活動休止を発表したあと約250万人に増えた。ファンクラブの年会費は4000円だから、その売り上げだけを計算しても年間で100億円。会員になるとコンサートチケットを優先的に申し込みができるとかの特典があるとはいえ、このサブスク時代にものすごい企画力だよ。話し合いに2年、発表から休止までに2年という期間は、4年間は安泰だって本人たちが自覚しているってことでもある。

 

おぐら 年齢的なことでいうと、最年長の大野くんが38歳で、ほかのメンバーも30代後半という、まさにセカンドキャリアを考える時期です。

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速水 日本的な世代区分でいえば、ポスト団塊ジュニア世代。SMAPも実質的に事務所内のトップの地位を嵐に譲ったのが、40代にかかる直前だったんだよね。その意味では、嵐はそれを譲る存在がいなかったというか。とてもセカンドキャリアとは言い出せなかった。優等生だけに、KAT-TUNのように自由にもできないし。

おぐら KAT-TUNはもともと6人組だったのに、いまは3人組になり。

速水 ヤンチャなグループというキャラでデビューさせたら、ヤンチャな順番にちょいちょいメンバーがへっていくという。ジャニーズ史上、最も半減期の短いグループ(笑)。

おぐら 僕は大野くんと生年月日が同じなのですが、まわりの同世代も嵐の会見をうけて真剣にセカンドキャリアを考える人たちが続出してます。「嵐もあと2年か……それまでに会社やめるか」みたいな。今後、嵐インパクトによって転職や離職が増えるかもしれませんよ。

 

速水 36歳になったタッキーも、1月にジャニーズJr.の育成とプロデュースを担う株式会社ジャニーズアイランドの代表取締役社長に就任したしね。ただ、表舞台から引退して最初の仕事がLINEスタンプのキャラってのはちょっと腰が抜けそうになったけど。それ以外にも、2018年はジャニヲタ受難の年だった。TOKIOの山口くんの事件とグループ脱退、退所問題。渋谷すばるくんの脱退、退所。今井翼もそう。あとはLove-tuneの契約更新しなかった問題。そしてKING&PrinceとSexy Zoneに1名ずつのパニック障害が発生して。

おぐら 本当にいろいろありましたね……。それにしても、ルックスがよくて歌とダンスが上手で、それに演技もできるっていう芸事に長けているだけでも十分すごいのに、かつてのアイドルと比べると今は全方位的な人間性を求められますよね。それってかなりのプレッシャーだと思うんです。

速水 SNSでの発信はもちろん、記者発表の場とかで「あなたにとってファンはどういう存在ですか?」みたいな質問にどう答えるかで真価が問われたり。

おぐら ちょっと前の『ワイドナショー』で指原莉乃が、松本人志に「お得意の体を使って」とセクハラ発言されたことに対して、後日ツイッターに〈松本さんが干されますように!!!〉と投稿して絶賛されていましたけど、あの高度なコミュニケーションは誰もができることじゃないですよ。

指原莉乃さん(左) ©文藝春秋

速水 もはや芸能界はそういう返しがうまい人しか生き残れなくなってきている。想定内のことしか言えないと、すぐ飽きられるし。だからピンのアイドルが厳しいのって、チームプレーができないところだよね。

おぐら いま人気を集めるためには、グループでもコンビでも、あるいはフィクションの登場人物たちにしても、関係性の魅力は超重要です。

速水 嵐のメンバーだって、もしひとりずつ会見をしていたらあそこまで完璧な仕上がりにはなってなかったよ。